わが国で古くから女性の間に行われた髪形の総称。その多くは元結(もとゆい)を使って髪を束ねて、前髪、鬢(びん)、髱(たぼ)をとり、それを集めて頭上に髷(まげ)をつくりあげるものである。元来女性は高貴の間では垂髪であったが、日常生活に不便なところから束ね髪となり、髷のある髪へと変わった。結い上げるための髪油も、蝋(ろう)分の多い鬢(びん)つけ油(あぶら)を用いたのは、ほつれを出さないくふうであり、髪飾りとしては最初、櫛(くし)、笄(こうがい)、簪(かんざし)に加えて、手絡(てがら)、根掛(ねが)け、丈長(たけなが)があり、さらに髱差し、鬢張りを用いて日本髪の美しさを表し、また頭上の髷を整えるためにかもじを利用した。日本髪の種類は、幕末から明治10年ごろまでだいたい280数種の髪形が、幼児から老女までに行われた。島田髷にしても10種以上がある。しかしながら、日本髪の不便、不経済、安眠ができないなどの欠点が露呈されて、1885年(明治18)大日本婦人結髪改良会の束髪が生まれ、さらに洋装の日常化および女性の職場進出などに伴って日本髪は衰退の一途をたどっている。
[遠藤 武]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…貴族や武家の女性は江戸前期までは中世以来の垂髪を踏襲していたが,庶民の間では,髷を結うことに積極的であった女歌舞伎や遊里の女性たちを中心として広まり,江戸中期以後には,島田髷や勝山髷が一般女性の間で広く結われるようになり,日本結髪史上の黄金時代ともいわれる多様な髪形の誕生を見たのである。 江戸時代女髷の概要を述べると,中期以降における特徴として,髪を前髪,髷,両鬢(びん),髱(たぼ)の五つに分髪して結いあげる形式が生まれ,後世の日本髪の基礎となった。この分髪形式は同時に生まれたわけではなく,それぞれの発達経路が少しずつ異なる。…
…髪を結う場合の最も基本的な形で,長い髪を頭上にまとめて1ヵ所でたばね,その上部を種々の形にたたんだり折り曲げたりする部分をいう。いわゆる日本髪は鬢(びん),髱(たぼ),前髪,髷から成り,髪全体をこの四つに分け,中心の髷にそれぞれの毛先を集めて結い上げる。桃山時代に女性の髪形が男性の髪形の影響を受けて頭上に結び上げる形になると,江戸時代を通じてさまざまな技巧がこらされ,髷が結髪の中心となり兵庫髷,大島田,奴(やつこ)島田などの島田髷,勝山髷,笄(こうがいまげ)その他,華やかな髪形が数多くつくり出された。…
※「日本髪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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