引過(読み)ひけすぎ

精選版 日本国語大辞典 「引過」の意味・読み・例文・類語

ひけ‐すぎ【引過】

〘名〙
① (「退過」とも書く) 勤務などの終了の時刻を過ぎること。退出の時刻の後。
※若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上「ひけ過ぎの、草履スリッパーが散乱した玄関に腰を下ろして」
江戸新吉原遊郭引け四つ拍子木を打った後の時刻。午後一二時以後。
※雑俳・柳多留‐二一(1786)「引け過の初会なまいき過たやつ」
衣類などの古くなったもの。七つさがり。
洒落本・遊僊窟烟之花(1802か)二「こんちりめんの引け過のはをりに」

ひき‐す・ぐ【引過】

〘自ガ上二〙
① 引いて通り過ぎる。引っぱって通過する。
源氏(1001‐14頃)明石「やがて馬ひきすぎておもむきぬべく思す」
② (「ひき」は接頭語) 通り過ぎる。行き過ぎる。また、時が過ぎる。
蜻蛉(974頃)上「さぶらはん人にいへとて、ひきすぎぬ」

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