日本大百科全書(ニッポニカ) 「弥勒寺址」の意味・わかりやすい解説
弥勒寺址
みろくじし
(1)美濃(みの)弥勒寺址 岐阜県関市池尻に存在する白鳳(はくほう)時代の寺院址。1953年(昭和28)に石田茂作(もさく)によって発掘された。法起(ほっき)寺式伽藍(がらん)配置の寺址として典型的なもので、同式伽藍の地割(じわり)究明に先駆的な役割を果たした例として有名である。なお本寺は、在地の豪族である武義公(むぎのきみ)一族によって建立されたことが考えられている。(2)宇佐(うさ)弥勒寺址 大分県宇佐市宇佐八幡(はちまん)の境内に存在する宇佐の神宮寺の遺跡で、薬師寺式伽藍配置を有する。法隆寺出土瓦(がわら)に近い鐙(あぶみ)・宇(のき)瓦を出土する奈良時代創建の寺址であるが、その後の消長の過程が古瓦と文献資料との対比によってたどれる。九州における代表的な奈良時代寺院址である。
[坂詰秀一]