弥勒寺址(読み)みろくじし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「弥勒寺址」の意味・わかりやすい解説

弥勒寺址
みろくじし

(1)美濃(みの)弥勒寺址 岐阜県関市池尻に存在する白鳳(はくほう)時代の寺院址。1953年(昭和28)に石田茂作(もさく)によって発掘された。法起(ほっき)寺式伽藍(がらん)配置の寺址として典型的なもので、同式伽藍の地割(じわり)究明に先駆的な役割を果たした例として有名である。なお本寺は、在地の豪族である武義公(むぎのきみ)一族によって建立されたことが考えられている。(2)宇佐(うさ)弥勒寺址 大分県宇佐市宇佐八幡(はちまん)の境内に存在する宇佐の神宮寺の遺跡で、薬師寺式伽藍配置を有する。法隆寺出土瓦(がわら)に近い鐙(あぶみ)・宇(のき)瓦を出土する奈良時代創建の寺址であるが、その後の消長の過程が古瓦と文献資料との対比によってたどれる。九州における代表的な奈良時代寺院址である。

[坂詰秀一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の弥勒寺址の言及

【益山】より

…王宮里から北方6kmあまりの弥勒山には,山城が築かれている。弥勒山の南西麓で,金馬面の街からは北西方に約3kmのところには,弥勒寺址があり,朝鮮半島で最大級の石塔が現存する。この塔の東方でも塔跡がみつかったが,東西2塔の中間で北寄りのところに,別の建物跡が知られ,3院からなる特殊な伽藍配置を示す。…

【寺院建築】より

…この形式は漢代の天文占星思想に由来するものとして,初めは宮殿址と考えられたが,日本の飛鳥寺の伽藍配置と同形式であることが明らかになって寺院址とされた。百済では公州と扶余に寺院址を残し,遺構には扶余定林寺址五重石塔,益山弥勒寺址多層石塔がある。伽藍配置は中門,塔,金堂,講堂を一直線上に置いた百済式伽藍で,日本に波及して四天王寺式伽藍と呼ばれる。…

※「弥勒寺址」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android