出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…このうち金属に刻した銘文が金文,石材に刻した銘文が石刻あるいは石刻文,両者を併せて金石文という。金文の中には兵器(戈,戟,矛,剣など)や度量衡(権,量,尺など)や貨幣などの銘文もあるが,主要なものは殷・周時代の彝器(いき)とよばれる青銅器の銘文である。彝器とは祖先の霊をまつったり賓客を饗応するときに使用する礼楽器のことで,食器(鼎,敦(たい)など),酒器(爵,尊など),水器(盤など),楽器(鐘(しよう)など)に大別される。…
…これらについてはそれぞれの項目に譲り,ここには詳論しない。
[殷代前期]
中国の青銅器の中で最も入念に作られ,芸術的にも価値の高いものの多いのは,祭祀饗宴用の飲食用の器や楽器(彝器(いき)と総称される)であった。それらは土地とそれを耕作する農民を支配する共同体(族)の長が,祭祀(父祖の霊を招待してそれに饗応し,穀物の稔り,子孫の繁昌,長寿などを約束させる行事)に使用する道具であり,また一族と饗宴を行って共同体の結束を固める行事にも使用するたいせつな品物であった。…
…二里頭遺跡)の墓からは,青銅器とともに青銅器をまねた陶器を出土することがあり,葬送用の明器がこの頃にはじまった可能性を示唆している。 殷・西周時代では青銅の彝器(いき)(祭祀・儀式用の炊事用器――鼎,鬲(れき),簋(き),あるいは飲食器――尊,爵,觚(こ))をまねた玉器,鉛器,陶器があり,また玉や鉛でかたどった戈や矛などの武器がある。玉製品が実用品を超越する貴重品であることを別にすれば,明器としての鉛器,陶器は,王や貴族の墓に比定され青銅器を副葬する大・中型墓よりも一段格式の低い小型墓に副葬される。…
※「彝器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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