…現に人の住居に使用されている建物に放火することによって成立する放火罪(108条)などでは,具体的危険の発生は必要でなく,それよりも程度の低い,そのような放火行為に存する抽象的な危険性だけで犯罪の成立を認めることができるとされており,抽象的危険犯とよばれている。さらに,自動車のスピード違反のような,このような抽象的危険すらその成立には必要とされない犯罪は,形式犯と一般によばれている。現代社会における社会生活の複雑化,科学技術の発達等に伴い,公害問題,消費者保護問題のような,不特定の多数人に被害を及ぼす行為への対処が必要となっているが,これらの現象に有効に対処するためには,個人に実害が発生する以前の段階で刑法が介入する必要があるのではないかが問題となってくる。…
※「形式犯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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