日本大百科全書(ニッポニカ) 「御定賃銭」の意味・わかりやすい解説
御定賃銭
おさだめちんせん
江戸時代における街道の人馬賃銭の一種。人馬賃銭は大別して無賃、御定賃銭、相対(あいたい)賃銭に分けられるが、御定賃銭は幕府の定めた公定賃銭で、幕府領のみならず大名領の街道にも及んだ。各宿駅の高札に前後の宿駅までの御定賃銭が示された。街道通行者一般に適用されるべき賃銭であったが、通行者と宿と相対で決める相対賃銭が認められていたので、御定賃銭はしだいに低廉となり、公用通行者の一種の特権となった。大名も領知高に応じ御定賃銭で一定の人馬使用が認められ、超過分は相対賃銭を支払った。1711年(正徳1)この年の御定賃銭を元賃銭とし物価に応じ一定期間割増銭を加算し、通行者と宿駅の負担を調整することとした。
[渡辺信夫]