相対(読み)アイタイ

デジタル大辞泉の解説

あい‐たい〔あひ‐〕【相対】

当事者どうしがさし向かいで事をなすこと。「相対で話をつける」
対等であること。対等で事を行うこと。
「―よりも少し自分を卑下したお辞儀をした」〈有島星座
合意すること。互いに納得した上であること。
「男と―にて乳母に出でける」〈浮・織留・六〉
連歌俳諧で、前句に相対して同じ趣向をつけること。春に秋、山に野でつける類。相対付け。

そう‐たい〔サウ‐〕【相対】

[名](スル)
向かい合うこと。向き合っていること。また、対立すること。「難題に相対する」
他との関係の上に存在あるいは成立していること。

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精選版 日本国語大辞典の解説

あい‐たい あひ‥【相対】

〘名〙
① 向かい合っていること。また、当事者同士が、直接に向かい合って、事を行なうこと。
※風姿花伝(1400‐02頃)七「これは筆に見え難し。あいたいしての口伝なり」
※黄表紙・本の能見世物(1780)「その親に相対(アヒタイ)して貰って来た」
② 合意すること。相談のうえ、互いに納得して事を行なうこと。あいたいずく。
※東寺百合文書‐る・応永九年(1402)七月一七日・最勝光院方評定引付「於此契約者、為内々儀、助公宮内卿平岡相対治定了」
※評判記・色道大鏡(1678)六「離別し、相対(アイタイ)の上にて起請を返す時は」
③ なれ合い。共謀。ぐる。
※浄瑠璃・信田森女占(1713)一「是成神子めと相たいで女わらべをたぶらかし」
④ 対等であること。対等で事をなすこと。
※史記抄(1477)九「斉衡と云は抗衡と云と同心なり。相対し長短もないぞ」
※俳諧・手引種(1807)下「相対は発句に結びし物に対を取て附〈略〉水底の影や大虵のしたもみぢ〈望一〉 独吟。相対、鹿の角ふりわたる山川 発句大虵の舌に下(した)をかけてせしなり。水底に川、大虵の舌に鹿の角と相対せしなり」
⑥ 競売や入札によらず、売り手と買い手との合意による直接取引。また、その方法。〔取引所用語字彙(1917)〕

あい‐たい・する あひ‥【相対】

〘自サ変〙 あひたい・す 〘自サ変〙 (「あい」は接頭語)
① 互いに向かい合う。また、向かう。
※今昔(1120頃か)一「左右に相対て坐して術を現ず」
※近世紀聞(1875‐81)〈条野有人〉初「広大なる事は其東西の辺境皆海洋まで相達し、其内西海は日本国へ相対(アヒタイ)し候」
② 互いに反対の立場に立つ。対立する。
※文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉一「軽重長短善悪是非等の字は相対したる考より生じたるものなり」

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世界大百科事典内の相対の言及

【せり(糶∥競り)】より

… せり売りは品質差のある商品を大量に,しかもすばやく取引する取引仕法として発達し,卸売市場での生鮮食料品のほか,たとえば製材品についても製材所から委託された問屋が一定の手数料を取って材木店(小売店)にせり売りする市売(いちうり)方式が行われている。 せり売りに対し,1人の売手と1人の買手が話合いで取引するのを相対(あいたい)売買と呼び,取引量や互いの信用状態によってその値決めはばらつくことが多い。製材品の場合は,せり売り形態の市売りに対して,問屋が製材所から自らのリスクで買い付け,個々に販売する方式を付売り(つけうり)と呼んでいる。…

【絶対者】より

…〈絶対absolutus〉とは元来〈解き離された〉を意味し,ここから独立的・自存的の意味となり,明治10年代以来〈絶待〉とも訳された。これが〈相対・相待relativus〉と対比されるのは,古代ローマ人以降のことである。また,神が絶対者と等置されるのはニコラウス・クサヌスを初めとする。…

【相対主義】より

…カトリックにおける第2バチカン公会議以降のエキュメニズム(世界教会)運動は,このような状況に対する解答の模索である。 相対主義は,政治的イデオロギーの場面でもありうるが,今日目だつ一つの局面は,文化相対主義cultural relativismである。上述の宗教や倫理的価値も含めて,一つの文化圏と他の文化圏の間に,絶対的尺度を設けてその優劣を論じようとする態度を捨てるのがその特徴であり,現在の文化人類学や比較文化論,民族音楽学などは基本的にはこの立場をとる。…

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