日本大百科全書(ニッポニカ) 「御用町人」の意味・わかりやすい解説
御用町人
ごようちょうにん
江戸時代、幕府・諸藩や武家屋敷に出入りして、各種の需用を調達するよう登用された商人・職人。御用達、御用聞(ごようきき)、御抱(おかか)え町人ともいう。大工棟梁(とうりょう)、鉄砲師、刀剣師など、本来は陣屋造営や軍事上の要請に応ずる特定の職人であったが、しだいに貨幣経済政策(金・銀座、秤(はかり)座など)、儀礼用度(献上物箱師、雛(ひな)人形師など)、日常用品(呉服所、表具師など)から食料品に至るまで、時代とともに多種多人数となった。幕府の御用町人は武家名簿たる武鑑に登載され、扶持米(ふちまい)を受け、帯刀も許されていた。諸藩では大坂・江戸で蔵物の販売・為替(かわせ)金融にあたる掛屋、城下町の町年寄、藩札発行の札元(ふだもと)など、特権的な大町人であった。
[北原 進]