改訂新版 世界大百科事典 「循環選抜」の意味・わかりやすい解説
循環選抜 (じゅんかんせんばつ)
recurrent selection
品種改良で実施している選抜方法の一つで,選抜と交雑とを繰り返して,優良遺伝子を集積しようとする操作をいう。自殖も他殖も容易なトウモロコシの育種で開発され,おもに他殖性作物に応用されてきた選抜技術である。まず供試材料から優良個体を複数選抜し,次の世代で個体間の相互交配や自然交雑を行う。この交雑種子を栽培して,順次,後の世代にわたって同様の選抜と交雑とを繰り返していく。循環選抜には表現型選抜法,一般組合せ能力循環選抜法,特定組合せ能力選抜法,相反循環選抜法などがある。遺伝子の形質発現が不完全優性だったり,完全優性だったりするために,これら各種の方法が成立している。最近注目されているのは雄性不稔現象を利用して,この方法をイネ,コムギなど自殖性作物に適用することである。
執筆者:武田 元吉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報