朝日日本歴史人物事典 「徳富一敬」の解説
徳富一敬
生年:文政5.9.24(1822.11.7)
明治新政府下の熊本の政治,教育に貢献した漢学者,教育者。蘇峰・蘆花の父。肥後(本県)水俣の人。惣庄屋徳富美信,直子の長男。横井小楠 の高弟。号は淇水。熊本藩庁で地租改正のときに奉行所書記,録事を兼任し,民力休養のため雑穀税の免除を決定させるなど藩の政治革新に努めた。明治13(1880)年熊本に実学党の教育機関,共立学舎を設立,漢学部で教えた。15年蘇峰が開いた大江義塾でも漢学を講義。19年蘇峰に従い一家で上京。謹厳実直な人柄は勝海舟に愛された。93歳で亡くなったときの蘇峰の悲しみは『近世日本国民史』の起筆を延期するほど大きかった。<参考文献>荒木精之『熊本県人物誌』,徳富蘇峰『蘇峰自伝』
(高野静子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報