心ブロック(読み)しんぶろっく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「心ブロック」の意味・わかりやすい解説

心ブロック
しんぶろっく

心臓の規則正しい収縮をつかさどる刺激伝導系の興奮伝導障害によって刺激の伝達速度が遅延あるいは途絶する状態をいう。障害部位によって洞房ブロック、房室ブロック、脚ブロックなどに分類されるが、心ブロックは通常、房室ブロックと同義語として使われることが多い。

 房室ブロックのうち、房室結節の障害程度によって次の3種に分けられる。伝導速度の遅延だけのものを1度房室ブロック、伝導がときどきとだえるものを2度房室ブロック、心房からの刺激がまったく心室へ伝わらないものを3度房室ブロックまたは完全房室ブロックという。また一過性房室ブロックの原因としては、ジギタリス剤の過剰投与によるものが多く、そのほか心筋梗塞(こうそく)やリウマチ熱によっても生じる。慢性の房室ブロックの原因としては、心筋の変性や線維化によるものが多く、サルコイドーシス心臓腫瘍(しゅよう)に合併することもある。1度および2度の房室ブロックのうちでも心拍数が50以上のときには、経過観察あるいは薬物治療が試みられる。さらに高度の房室ブロックがある場合には、失神発作の既往の有無も考慮に入れたうえで、人工ペースメーカーの植え込み術が行われる。

[井上通敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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