心深(読み)こころふかい

精選版 日本国語大辞典 「心深」の意味・読み・例文・類語

こころ‐ふか・い【心深】

〘形口〙 こころふか・し 〘形ク〙 (「こころぶかい」とも)
① 心の働きが深い。
(イ) 心の働きが慎重で、軽薄でない。思慮深い。用心深い。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「心ふかくをかしう、かたちなどもことなむなかりしを」
(ロ) 深刻に考えているさまである。深くつきつめて思っているさまである。
※宇津保(970‐999頃)国譲中「すなはちきこえんとせしかど、心ふかき所つき給へりしかば、〈略〉思つつみてなん」
② 情が深い。人情味が厚い。思いやりが深い。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「いとしのびて、さべき折には、この御方にはたいめんし給て、かたみに心ふかう、あはれにきこえちぎり給ふ」
③ 情趣が深い。風情がある。
徒然草(1331頃)一三七「望月のくまなきを千里の外まで眺めたるよりも、暁ちかくなりて待ち出でたるが、いと心ぶかう、青みたるやうにて」
和歌などの内容が豊かで、深みがある。意味するところが深く趣もそなわっている。
源氏(1001‐14頃)常夏「いと、心ふかく、よしある事を、いひ居たりとも、よろしき心地あらむと、きこゆべくもあらず」
新撰髄脳(11C初)「凡そ、歌は心ふかく姿きよげに、心にをかしき所あるを、すぐれたりといふべし」
⑤ かるがるしく気持を見せない。うちとけず遠慮がちである。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「いとこころつよう、心ふかかりし人にて、おほやけをうらみ世中をしらでなむ、身をも心づから沈めてし」
こころふか‐げ
〘形動〙
こころふか‐さ
〘名〙

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