風情(読み)フゼイ

デジタル大辞泉 「風情」の意味・読み・例文・類語

ふ‐ぜい【風情】

[名]
風流・風雅の趣・味わい。情緒。「風情のある庭」
けはい。ようす。ありさま。「どことなく哀れな風情
能楽で、所作しぐさ
身だしなみ。
「人の―とて朝毎髪結はするも」〈浮・一代男・三〉
[接尾]
人・人名身分などを表す名詞、また、代名詞に付いて、卑しめる意やへりくだる意を表す。「私風情にはとても理解することができません」
名詞に付いて、…のようなもの、…に似通ったもの、などの意を表す。
「箱―の物にしたため入れて」〈徒然・五四〉
[類語]1)(2気韻風韻幽玄気分興味興趣感興・おもしろみ・味わい内容情趣情調情緒風趣風格余情余韻詩情詩的味わい滋味醍醐味妙味雅味物の哀れポエジーポエティックポエジーポエトリーロマンチックメルヘンチックリリカルセンチメンタルファンタジックファンタスティック幻想的夢幻的神秘的ドリーミー

ふう‐じょう〔‐ジヤウ〕【風情】

ようす。けしき。ふぜい
古人の―を学ばば」〈玲瓏随筆

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「風情」の意味・読み・例文・類語

ふ‐ぜい【風情】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 風流・風雅の趣や味わい。情趣。情調。また、それを解する心。
      1. [初出の実例]「詩人遇境感何勝、秋気風情一種凝」(出典:菅家文草(900頃)一・戊子之歳、八月十五日夜陪月台)
      2. 「此僧常に風情を好み市を避て」(出典:俳諧・芭蕉句選拾遺(1756)僧専吟餞別之詞)
    2. 事柄の内容の大体の方向。趣。流儀
      1. [初出の実例]「似るを友とかやの風情に、忠盛もすいたりければ、彼女房も優なりけり」(出典:平家物語(13C前)一)
    3. 様子。けはい。姿。態度。
      1. [初出の実例]「倒るる処に土を爴む風情(セイ)をしたりけるよとて」(出典:太平記(14C後)三八)
    4. 能楽で、所作(しょさ)、しぐさのことをいう。
      1. [初出の実例]「定めて言葉のままにふせいをせば、人体に似合はぬ所あるべし」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)六)
    5. 身の回りを整えること。みだしなみ。
      1. [初出の実例]「脇あけの下人に風情をつくらるるもあり」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)二)
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. 名詞に付いて、…のようなもの、…に似通ったもの、…の類、などの意を添える。
      1. [初出の実例]「長持三十枝に、葉金(はこがね)染物・巻絹風情の物を入れてたてまつり給ふ」(出典:平家物語(13C前)一〇)
    2. 名詞、特に人名、代名詞や人を表わす語に付いて、それをいやしめ、または、へりくだる意を添える。
      1. [初出の実例]「かめわう丸風情にても候へ、下させおはしまし候べく候」(出典:東寺百合文書‐ほ・正安二年(1300)八月一五日・伊勢大国荘雑掌申状案)

ふう‐じょう‥ジャウ【風情】

  1. 〘 名詞 〙 ようす。けしき。おもむき。ふぜい。
    1. [初出の実例]「古人の風情(フウジャウ)を学ばば、今人の目に宜しかるべからず」(出典:随筆・玲瓏随筆(1859)一)
    2. [その他の文献]〔江淹‐王倹為左僕射詔〕

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