朝日日本歴史人物事典 「忠延」の解説
忠延
平安前期の真言宗の僧。空海十大弟子のひとり。母は宗方氏。東大寺で具足戒を受け,のち空海から東寺で両部灌頂を受けたとの伝もあるが,真偽不明。天長1(824)年高雄山寺(神護寺)の定額僧名簿や,承和3(836)年実慧の唐青 竜寺への音信から,神護寺が活動拠点と思われる。その他は承和4年円行が入唐する際に託された音信に,あるいは『性霊集』巻8の空海が忠延の母の菩提を理趣経を講じて供養したという記載に,名がみえる程度にすぎない。情報不足は空海の血縁に連ならない弟子の常といってよい。<参考文献>守山聖真編『文化史上より見たる弘法大師伝』
(正木晃)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報