忠海村(読み)ただのうみむら

日本歴史地名大系 「忠海村」の解説

忠海村
ただのうみむら

[現在地名]竹原市忠海町

黒滝くろたき(二六六メートル)西南麓の村で、東は能地のうじ村、北は小泉こいずみ(ともに三原市)に接し南は瀬戸内海に面する。豊田郡に属した。「国郡志下調書出帳」に「向フノ嶋方ヘ海幅壱里斗リ、土地合陽気勝チ、冬分雪霰ナト降トイヘトモ鮮キ方ニテ消易ク、夏分奥筋ヨリ催ス雨ハ陽気ニ押レシユエカ降来ル事ナシ(中略)兎角旱損ノ患多シ、山ハ砂地なめら 岩山等ニテ草木ノ生立悪クシテ肥草ナシ」と記す。港の忠海湊、漁業集落の二窓ふたまど浦があり、南海上の大久野おおくの島・小久野こくの島も村域に含まれた。

地名は康応元年(一三八九)の「鹿苑院殿厳島詣記」に「御舟を洲に押掛てゆかざりければ、はし舟をめしてただの海の浦といふ所のいそぎはに、あしふける小屋にやどらせ給ひける程に、しほ満来りて御舟おきぬとてまゐれり、又めしてこがせ給」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報