朝日日本歴史人物事典 「念仏重兵衛」の解説
念仏重兵衛
生年:文化14(1817)
幕末維新期の茶商。近江国膳所(大津市)の生まれ。姓は太田。初代重兵衛が膳所藩に仕えて農を兼ね,鍬を手に念仏を唱えて他界したので念仏重兵衛と呼ばれた。5代重兵衛は殖産興業を志し,仕籍を継子に譲り,山城国宇治で製茶法を習得。膳所に帰り茶園を開き,膳所藩御用茶司になる。ペリー来航のとき,彼の茶「無銘」をペリーが賞翫,安政2(1855)年藩命で園山(大津市)に13haの茶園を開く。これより茶司重兵衛の名声高まり,舗号を竜井堂と称した。のちに岩倉具視が初代重兵衛の故事にちなんで念仏園と命名。藩の茶会所の設置や農政にも尽力したが,水論にかかわり百姓三吉に殺害された。<参考文献>滋賀県教育会編『近江人物志』
(葉山禎作)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報