膳所(読み)ぜぜ

精選版 日本国語大辞典 「膳所」の意味・読み・例文・類語

ぜぜ【膳所】

(古代志賀大津宮御厨(みくりや)が置かれていたところから呼ばれた) 滋賀県大津市の中央部の地名琵琶湖に臨み、江戸時代本多氏七万石(のち六万石)の城下町として発展旧東海道が貫通し、南側石山に連なる。近江八景の一つ「粟津晴嵐」で知られる。陪膳浜(おもののはま)

ぜん‐しょ【膳所】

〘名〙 食膳をととのえる所。食物を調理する所。台所。厨(くりや)。みずしどころ。ぜんどころ。
今昔(1120頃か)二五「其後膳所の方に行て、腰刀の崎を返す々能く々鋭(とぎ)

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デジタル大辞泉 「膳所」の意味・読み・例文・類語

ぜぜ【膳所】

滋賀県大津市の地名。琵琶湖に臨み、近江八景の一つ「粟津の晴嵐」で知られる。義仲寺がある。もと本多氏の城下町。

ぜん‐しょ【膳所】

食膳を調える所。台所。ぜんどころ。

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改訂新版 世界大百科事典 「膳所」の意味・わかりやすい解説

膳所 (ぜぜ)

近江国(滋賀県)滋賀郡,琵琶湖南岸の地名。《太平記》巻第十四に〈ゼヾガ瀬〉とあるのが文献上の初見。中世には粟津七荘のうちの一つ,近世には膳所村で,寛永高帳における村高359石余。関ヶ原の戦後,徳川氏は大津城を廃棄し,改めて諸大名に援助を命じ,湖に突出した膳所ヶ崎の地に膳所城を築城した。これは京への警衛とあわせて江南地域を制する政治・軍事上の目的からといわれる。城を核として東西にのびる西ノ庄,木ノ下,膳所,中ノ庄,別保5ヵ村は町分を形成し,町中に東海道を通して,以後城下町として繁栄した。1601年(慶長6)初代城主は戸田一西(かずあき),その後城主は代々譜代の本多,菅沼,石川氏と交代し,51年(慶安4)再度本多氏が入封,近江国内で6郡,河内国内で3郡の膳所藩7万石(のち分封し6万石)を領有し,明治維新に至った。1901年に町制施行,33年大津市と合体した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「膳所」の意味・わかりやすい解説

膳所
ぜぜ

滋賀県南部、大津市の一地区。旧膳所町。地名は、古代に大津宮への食物を供した陪膳浜(おもののはま)に由来すると伝えられる。江戸時代は本多氏の膳所藩6万石の城下町で、関ヶ原の戦いのあと徳川家康が築かせた水城の膳所城跡は公園になっている。当時の城門が膳所神社表門(国の重要文化財)などに残り、町並みに城下町の名残(なごり)をとどめるが、JR東海道本線膳所駅、京阪膳所駅周辺や湖岸の埋立地には新しい都市的施設が建設されている。

[高橋誠一]

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百科事典マイペディア 「膳所」の意味・わかりやすい解説

膳所【ぜぜ】

滋賀県大津市の琵琶湖南岸の地名。古代以来の水陸交通の要衝で,近世には膳所城が築かれ,城下町が発達した。歴代膳所藩主は京都・大坂のおさえとしての役割を担い,城下町もそうした性格の強い政治都市で,商工業は西隣の大津町に依存した。1871年の廃藩置県で膳所藩領は膳所県となる。城郭は破却され,現在跡地は膳所城公園となっている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「膳所」の意味・わかりやすい解説

膳所
ぜぜ

滋賀県大津市の中心市街地の一部。旧町名。 1933年大津市に編入。江戸時代は本多氏6万石の城下町。現在は住宅地で,琵琶湖にのぞむ旧本丸跡は公園となっている。地名は,古くは陪膳浜 (おもののはま) と呼ばれ,かつて宮中の食卓に魚を供する地であったことに由来。

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世界大百科事典(旧版)内の膳所の言及

【エンジニアリングプラスチック】より

…機械部品,自動車用部品,電子・電気機器部品として,それぞれの機能を生かして使用される100℃以上の耐熱性を有する樹脂の総称。エンプラと略称されることもある。代表的なものとしては,ポリアセタールポリアミド(ナイロン),ポリエステル(PBT),ポリカーボネート,変性PPO(商品名ノリル)があり,汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)と呼ばれる。エポキシ樹脂,シリコーン樹脂のような熱硬化性樹脂,より耐熱性の高いポリアリレート,PPS,ポリイミド樹脂なども含まれる。…

【大津[市]】より

…1898年市制。1932年滋賀村,33年膳所(ぜぜ)町,石山町,51年坂本村,下阪本村,雄琴(おごと)村,下田上村,大石村,67年堅田町,瀬田町を編入。人口27万6332(1995)。…

※「膳所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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