原因は
近年、
耳痛や耳だれ、発熱、
鼓膜を観察すれば容易に診断がつきます。鼓膜の発赤、腫脹、うみの貯留による混濁を認め、
発熱などの全身症状が強く、外耳道が狭くなっている時は、
耳痛、発熱の有無、鼓膜所見、耳漏の有無等をスコア化し、重症度分類を行います。
軽症例では3日間経過観察し、改善しないようなら抗菌薬が投与されます。
中等症以上には抗菌薬の内服が基本で、通常ペニシリン系が最初に選択されます。内服後の鼓膜の変化、細菌検査の結果などを参考に、適宜、抗菌薬を変更します。耐性菌が原因菌と判定された場合には、点滴静注、局所の洗浄などが行われます。
重症例や抗菌剤5日間投与で改善が認められない時は、鼓膜切開が行われます。鼓膜は切開しても数日で閉鎖し、難聴などの後遺症は起こさないので、必要な時は恐れず鼓膜切開を受けてください。
中耳炎では、同時に上気道感染を伴っていることが大半で、上咽頭の処置が必要になります。
重症の患者さんには点滴静注が行われることもあります。高熱が続いたり、難聴、顔面神経麻痺などの合併症が生じた場合は、救急手術(
中耳炎はポピュラーな病気で、小児科単独で診察することも多いのですが、一時減少していた合併症が、耐性菌の増加のため近年増える傾向にあります。治療方針の決定に鼓膜の正確な所見が必要ですので、耳鼻科専門医による診察を受けるようすすめます。
菅澤 正
急性中耳炎は小児、とくに2歳以下の乳幼児に多くみられます。中耳と鼻の奥は細いトンネル(
大人に比べて子どもでは、このトンネルから中耳へ菌が侵入しやすい構造になっていて、しかも菌を除く免疫のはたらきが未熟なため、中耳炎が起こりやすいのです。季節的にかぜをひきやすい冬から春に多くみられます。
炎症を起こす原因のほとんどが細菌による感染症で、肺炎球菌、インフルエンザ菌が主な原因菌です。最近これらの菌のなかで抗菌薬の効きにくい薬剤
鼻水やのどの痛みなどのかぜのような症状に続いて、発熱、急に耳の奥に刺すような強い痛みが始まり、耳がふさがって聞こえにくく感じます。「耳が痛い」ことをうまく伝えられない乳幼児では、耳に手をやるしぐさ、泣いてぐずる、不機嫌で眠らないなどの行動がみられます。時に耳のなかから粘液が出てくる(耳だれ)ことで気づくこともあります。
耳のなかを直接のぞいて(耳鏡または内視鏡検査)
症状が軽く鼓膜の変化が少ない場合は、抗菌薬を使わず3日間鎮痛薬だけで様子をみます。軽症でも3日後改善しない場合に抗菌薬が処方されます。
中等症、重症でははじめから抗菌薬が処方され、重症度に応じて抗菌薬の量を多く処方されることもあります。鼓膜の
耳鼻咽喉科医の診察を受けます。夜間など病院が診療していない時間帯に急に耳が痛くなったら、まず市販の鎮痛薬を服用して安静を保ち、翌日早めに受診しましょう。また、鼻を強くかみすぎないように注意します。
余田 敬子
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
…中耳腔の炎症性変化を総称して中耳炎とよぶ。急性中耳炎は風邪のときおこりやすく,耳と鼻の奥をつなぐ耳管を通じて細菌が入り,中耳粘膜の急性炎症をおこしたものである。激しい耳痛,耳閉塞感,ときに発熱があり,抗生物質の治療が有効である。…
※「急性中耳炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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