日本大百科全書(ニッポニカ) 「急性毒性」の意味・わかりやすい解説
急性毒性
きゅうせいどくせい
ヒトや動物がさまざまな物質や物理的要因(電離放射線、電磁波など)の曝露(ばくろ)を1回(単回)受けたときに生ずる毒性作用を、急性毒性とよぶ。また、24時間以内に複数回の分割曝露を受けた際に生ずる毒性影響も、急性毒性に含まれることがある。
おのおのの物質または物理的要因がもつ急性毒性の強さは、これらを単回曝露された実験動物の半数が死亡する量(半致死量)として表され、この値が小さいほど毒性が強い(より少量で個体を死に至らしめる)ことを示す。半致死量はLD50(Lethal Dose 50)ともよばれ、物質によってはこの値に大きな種差がみられる場合もある。たとえば、強い毒性をもつとされるダイオキシン(2,3,7,8-TCDD)のLD50を一般的な実験動物間で比較すると、もっとも感受性の高いモルモット(テンジクネズミ)では0.6μg/kg(体重1キログラム当り0.6マイクログラムの曝露を受けた動物の半数が死亡する)であるのに対し、ラットでは100~300μg/kg、ハムスターでは1000~5000μg/kg程度であり、最大で8000倍ほどの種差がある。
[青山博昭]