朝日日本歴史人物事典 「恵空」の解説
恵空
生年:正保1.5.15(1644.6.19)
江戸前期の真宗の僧。近世東本願寺学事の創始者で,学寮初代講師として有名。近江国(滋賀県)善立寺信空と妙善の子。字は得岸。天台宗の学問を志し,寛文1(1661)年比叡山にのぼるが,真宗への因縁を感じて山をおり,河内国(大阪府)光徳寺で法務の傍ら修学する。同9年ごろに高木宗賢の援助を得て,京都で真宗の学匠円智の門に入る。同10年東本願寺琢如により御堂衆に採用され,御堂給仕と真宗学研鑽に勤める。延宝8(1680)年京都西福寺に入寺,天和3(1683)年には御堂衆の職務を解かれて,講義や著述活動などに専念した。正徳5(1715)年に東本願寺学寮の初代講師に任じられたというが,この時期には講師制度はなく,学寮の講者に採用されただけとの説もある。著書は『無量寿経講義』『叢林集』など多い。<参考文献>『恵空老師行状記』,暁烏敏『恵空講師伝』,『大谷派学事史』
(草野顕之)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報