木曾(読み)きそ

精選版 日本国語大辞典 「木曾」の意味・読み・例文・類語

きそ【木曾】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 長野県南西部、御嶽の東、木曾山脈の西側、木曾川の上流域を占める地域。現在の木曾郡(旧西筑摩郡)にあたる。国内有数の森林地帯で良材の産地。古くは美濃国に属したが、のち信濃国に属することとなった。江戸時代は尾張藩が領有した。岐曾、岐蘇、吉祖、岐岨とも表記。→木曾路木曾谷木曾山
    2. [ 二 ] 木曾義仲をいう。
    3. [ 三 ] 謡曲。四番目物。観世流。作者不詳。別名「埴生(はにゅう)」「木曾願書」。「平家物語」による。木曾義仲が越中国埴生に陣をしいた時、右筆の覚明は願書を書いて八幡宮に奉納する。そして、酒宴を開いて出陣を祝い、倶利伽羅(くりから)で大勝利をおさめる。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 男児節句に飾る木刀菖蒲刀(しょうぶがたな)
    1. [初出の実例]「『羅山文集』慶安辛卯五月云々童児立紙幡木曾、これは菖蒲刀を木曾といへり」(出典:随筆・嬉遊笑覧(1830)九)

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改訂新版 世界大百科事典 「木曾」の意味・わかりやすい解説

木曾[町] (きそ)

長野県南西部,木曾郡の町。2005年11月木曾福島(きそふくしま)町と開田(かいだ),日義(ひよし),三岳(みたけ)の3村が合体して成立した。人口1万2743(2010)。

木曾町北西部の旧村。木曾郡所属。人口2001(2000)。御嶽山の北東麓にあり,西は岐阜県に接する。ほぼ全域が山林・原野で占められ,中央部を南流する西野川,把之沢川,末川沿いにわずかに耕地が開かれ,集落が点在する。かつては木曾駒の産地であったが,現在は乳・肉用牛が飼育され,また冷涼な気候を利用して野菜の栽培も盛んである。南西部一帯は御岳県立自然公園に属する開田高原が広がり,キャンプ場やゴルフ場などのスポーツ,レクリエーション施設がある。
執筆者:

木曾町中部の旧町。木曾郡所属。木曾谷の中心をなす。1967年福島町と新開村が合体,改称。人口8162(2000)。江戸時代木曾谷は尾張藩の支配下におかれたが,その代官所が現在の中心集落である福島に設けられた。また江戸と京都を結ぶ中山道の宿駅として栄え,関所も置かれた。この関所は東海道の箱根,新居,中山道の碓氷とともに,四大関所といわれた。明治以降木曾郡の行政中心地となったほか,1947年には木曾御料林を管理する帝室林野局木曾支庁も置かれた。1950年代まで木曾地方は日本在来馬の木曾馬の生産地で,町では馬市が開かれていたが,のち牛市に変わった。名所,史跡が多く,関所跡や木曾義仲の墓のある興禅寺島崎藤村の《家》に描かれた高瀬家などがあり,交通関係資料を展示した木曾福島郷土館もある。町の南東部,駒ヶ岳の北西麓には木曾馬の放牧地であった木曾駒高原があって,ゴルフ場,スケート場などの施設や別荘が設けられ,中京地方の保養地,休養地になっている。御嶽山登山の基地でもある。JR中央本線,国道19号線が通る。
執筆者:

木曾町東部の旧村。木曾郡所属。人口2700(2000)。木曾山脈北西部に位置し,村域の大部分が山林・原野で占められる。中心集落の宮ノ越はかつて中山道の宿駅であった。木曾川沿いに水田が開かれ,米作中心の農業が営まれてきたが,近年は肉牛飼育や花卉栽培が盛んになっている。駒ヶ岳北西麓に発して木曾川に注ぐ正沢川の下流には木曾駒高原が広がり,ゴルフ場,スケート場,別荘地などがあり,観光開発が進められている。村名の日義は朝日将軍源義仲にちなむもので,義仲が旗揚げしたところといわれる旗上八幡宮や菩提寺の徳音寺,義仲の資料を展示した義仲館などがある。JR中央本線,国道19号線が通じる。

木曾町南西部の旧村。木曾郡所属。人口2003(2000)。御嶽山東斜面を占め,西は岐阜県に接する。村域の大部分は山林・原野で,西野川や白川などの河川沿いに耕地が点在する。畜産,米作,養蚕などが行われ,近年,肉牛の飼育やリンゴの栽培が盛んになっている。中心集落の黒沢は御嶽登山基地として,また御嶽神社里宮の門前町として形成された。御嶽山東麓には寒原高原,御嶽高原が広がり,百間滝,ブッポウソウ繁殖地(天)のほか,木曾温泉(単純二酸化炭素泉,14℃),鹿ノ瀬(かのせ)温泉(純重曹泉,28℃)がある。
執筆者:

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「木曾」の解説

木曾
(通称)
きそ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
義長三ツ巴
初演
正徳2.9(江戸・中村座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「木曾」の意味・わかりやすい解説

木曾
きそ

球磨型軽巡洋艦」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の木曾の言及

【三岳[村]】より

…長野県南西部,木曾郡の村。人口2019(1995)。…

【長野[県]】より


[沿革]
 県域はかつての信濃国全域にあたる。江戸末期には松本藩,飯田藩,高遠(たかとお)藩,高島藩(諏訪藩),田野口藩(後に竜岡藩と改称),松代藩,須坂藩,飯山藩,岩村田藩,小諸藩上田藩の諸藩が分立しており,木曾は尾張藩領で,そのほかにも天領,旗本領,寺社領などが入り組んでいた。1868年(明治1)伊那県が置かれて,尾張藩の所管となっていた旧天領,旗本領などを支配下に置き,翌年三河県を併合(1871年額田県に編入),70年には一部を割いて中野県を設けた。…

【百姓稼山】より

…この稼山製品には山役人の検木と,採材量に応じた運上の負担が義務づけられていた。類似の稼山は木曾,伊那の御林山にも見られたが,その多くは臨時的に行われる〈御救山(おすくいやま)〉であったことと,出願者が村単位であった点に多少の相違が見られる。【所 三男】。…

【願書】より

…(1)平曲の曲名。《木曾願書》とも称する。伝授物。…

※「木曾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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