悪性症候群

六訂版 家庭医学大全科 「悪性症候群」の解説

悪性症候群
(こころの病気)

 悪性症候群は、突然に高熱を発して筋肉が硬直し、意識障害を起こすこともある、時に生命危機にさらされる抗精神病薬の副作用です。熱は40℃以上に達し、解熱薬が効きません。体全体をこわばらせ、発汗がひどく、意識障害のために口から栄養が摂れなくなります。腎臓肝臓の障害を引き起こすこともあります。

 治療は、いったん精神科治療を中断しても、内科や集中治療室の力を借りながら、全身管理を行いつつ実施されます。

 本症のリスクファクター危険因子)としては、①患者さんが精神症状のために、たいへん緊張し興奮した状態か、昏迷(こんめい)状態という緊張しながらほとんど動かない状態にある。②興奮・緊張や昏迷のために、水分が摂れず脱水気味である。また、運動量の割に食事も摂れていないため体が消耗している。③注射を用いて大量に投与されるなど、かなり急速に高濃度の抗精神病薬が体内に投与されている、などがあげられます。

 予防にあたっては、とくに急性期に脱水や栄養障害に配慮することが欠かせません。加えて、緊張がなるべくほぐれるような環境づくり、接し方の工夫にも意味があります。精神疾患といえども体を巻き込んでの病態であり、体の状態をみることの大切さを、この副作用は教えています。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「悪性症候群」の解説

あくせいしょうこうぐん【悪性症候群】

 精神病の人が向精神薬(こうせいしんやく)(「向精神薬のいろいろ」)を服用すると、高熱が続き、意識障害や筋硬直(きんこうちょく)をおこすことがあり、これを悪性症候群といいます。悪性過高熱(あくせいかこうねつ)とは別の病気です。向精神薬が、神経にはたらきかけるドパミンの作用を抑えてしまうのが原因と考えられ、ドパミン作動薬の使用が試みられています。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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