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向精神薬 こうせいしんやくpsychotropic drugs; psychoactive drugs

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

向精神薬
こうせいしんやく
psychotropic drugs; psychoactive drugs

精神状態に作用する薬物。狭義には精神治療薬のことをいうが,正確には精神異常発現薬 (サイケデリック剤) やアルコールなども含まれる。精神治療薬には抗精神病薬 (メジャートランキライザ) ,抗うつ剤,精神賦活剤,抗不安剤 (マイナートランキライザ) ,鎮静催眠剤,抗てんかん剤のほか,鎮痛剤,麻酔薬なども含まれる。多くの向精神薬やアルコールでは依存形成性が問題になる。特に身体依存を形成するアルコール,バルビツール酸系および非バルビツール酸系鎮静剤,抗不安剤,アヘン系薬物,アヘン類似鎮痛剤はいうまでもなく,強い精神依存を形成するニコチンアンフェタミン,プレルジン,コカインなども,流通機構にきびしい行政的統制を受けている。多くの向精神薬は治療薬と精神異常発現薬の両面をもっているが,有機溶剤 (トルエンなど) やニコチンのように,治療薬としてはまったく用いられないものもある。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

向精神薬

中枢神経に作用して脳に影響を及ぼす薬物の総称が「向精神薬」で、このうち、依存性の比較的強い睡眠導入剤などの薬物が「麻薬及び向精神薬取締没で規制されている。譲渡した者は3年以下の懲役に処される。向精神薬には、統合失調症による妄想などの症状を抑える精神安定剤や抗うつ薬、食欲抑制剤などがある。重度のがん患者の痛みの除去に用いられているモルヒネや中枢神経刺激剤「リタリン」などは特に依存性が強い。医師の処方がなければ購入できず、乱用すれば錯乱や幻覚などの副作用が生じたり、強い依存症に陥ったりすることもある。

(2009-11-25 朝日新聞 夕刊 1社会)

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デジタル大辞泉の解説

こうせいしん‐やく〔カウセイシン‐〕【向精神薬】

中枢神経系に作用し、精神の状態・機能に影響を与える薬物の総称。抗精神病薬・抗鬱(こううつ)薬・抗躁(こうそう)薬・中枢神経刺激薬・睡眠導入剤(催眠薬)・鎮静催眠薬などがある。

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百科事典マイペディアの解説

向精神薬【こうせいしんやく】

人間の精神機能に影響を及ぼす薬剤すなわち嗜癖(しへき)薬,幻覚発現物質,酩酊(めいてい)薬,催眠・鎮静薬,精神病治療薬などの総称。嗜癖薬としてはアヘンヘロインヒロポン,幻覚発現物質としてはメスカリン,LSDエフェドリン,酩酊薬としてはアルコールエーテル,催眠・鎮静薬としてはブロバリン,イソミタール,メプロバメートなどがある。
→関連項目人格障害精神分裂病精神薬理学躁病電気ショック療法ペヨーテ

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栄養・生化学辞典の解説

向精神薬

 各種精神病に対して効果を示す物質.また,少量の投与で精神病に似た症状を示す薬物も含める.抗うつ薬,精神安定薬など.

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世界大百科事典 第2版の解説

こうせいしんやく【向精神薬 psychotropic drug】

脳に作用する薬は麻酔薬,解熱鎮痛薬,抗痙攣(けいれん)薬などたくさんあるが,選択的に精神状態に影響を与える薬全体を向精神薬という。したがって,精神病を治す薬はもちろん,精神異常を起こさせるものまでをも含む。
[向精神薬の歴史]
 精神病を薬で治したという最も古い記録はギリシア神話にみられる。プロイトスProitosの娘たちが女神ヘラの怒りにふれて精神異常になったとき,予言者メランプスがヘリボリと称する薬を飲ませ,アルカディアの泉で水浴びさせてこれを治した,という。

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大辞林 第三版の解説

こうせいしんやく【向精神薬】

中枢神経系に作用し、精神機能に影響を及ぼす薬剤の総称。抗精神病薬・抗不安薬・抗鬱薬などの精神治療薬のほか、覚醒剤・幻覚剤なども含む。麻薬及び向精神薬取締法の対象となる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

向精神薬
こうせいしんやく

中枢神経系に作用して精神状態や精神機能に影響を与える薬物の総称である。1943年スイスの化学者ホフマンによりLSD‐25が発見され、同じくスイスの化学者ストールArthur Stoll(1887―1971)によりその幻覚発現の作用が確認され、薬物と精神作用との関係が解明され始めた。1952年のクロルプロマジンの発見により精神病の治療に薬物が用いられるようになり、フェノチアジン系のメジャートランキライザー(強力精神安定剤)が多く開発され、一方ではクロルジアゼポキシドをはじめとするマイナートランキライザー(穏和精神安定剤)が出現し、精神機能に影響を与える薬物が多く開発されてきた。
 向精神薬は研究途上のものも多く、その分類はいまだ確立していないが、臨床的立場から薬物の精神機能に及ぼす影響を特徴別に分けた分類がある。その分類によると、向精神薬を精神治療薬と精神異常発現薬とに2大別し、前者を精神抑制薬と精神賦活(ふかつ)薬(抗うつ剤)に分ける。精神抑制薬には睡眠薬、精神抑制薬(抗精神病薬)、静穏薬(抗不安薬)の三つが、また精神賦活薬には感情抑制薬と感情興奮薬、精神刺激薬がある。精神異常発現薬にはコカイン、モルヒネのような多幸化薬と、LSD‐25、メスカリン、プシロシビンのような幻覚発現薬がある。
 向精神薬の主流を占める抗精神病薬には、クロルプロマジンをはじめとするフェノチアジン系、インドジャボクのアルカロイドのレセルピン、ブチロフェノン系、チオチキセン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、炭酸リチウムがある。静穏薬としてはヒドロキジンなどのジフェニルメタン誘導体、クロルジアゼポキシド、ジアゼパムをはじめとするベンゾジアゼピン誘導体がある。感情抑制薬にはイミプラミン、アミトリプチリンなど三環系抗うつ剤といわれるもの、感情興奮薬にはモノアミン酸化酵素阻害剤があり、精神刺激薬としては覚醒(かくせい)剤のアンフェタミン、メタンフェタミンのほかピペラドロールがあげられる。[幸保文治]

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世界大百科事典内の向精神薬の言及

【精神薬理学】より

…一次的に精神状態に影響する薬を向精神薬と呼び,それに関する薬理学が精神薬理学である。つまり,心を動かす薬の,生理的影響,吸収,代謝,排出,治療への応用,などを調べる学問である。…

※「向精神薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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