向精神薬(読み)コウセイシンヤク(英語表記)psychotropic drug

デジタル大辞泉 「向精神薬」の意味・読み・例文・類語

こうせいしん‐やく〔カウセイシン‐〕【向精神薬】

中枢神経系に作用し、精神の状態・機能に影響を与える薬物の総称。抗精神病薬抗鬱こううつ薬・抗躁こうそう薬・中枢神経刺激薬・睡眠導入剤(催眠薬)・鎮静催眠薬などがある。

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共同通信ニュース用語解説 「向精神薬」の解説

向精神薬

精神疾患の治療に使われる抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの総称。中枢神経に作用し、精神機能に影響を及ぼす。乱用の危険性があるため、麻薬取締法の対象。過剰に服用すると、幻覚や錯乱などの症状が現れ、死亡するケースもある。インターネットを通じた不正転売が社会問題となっている。

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精選版 日本国語大辞典 「向精神薬」の意味・読み・例文・類語

こうせいしん‐やくカウセイシン‥【向精神薬】

  1. 〘 名詞 〙 精神の機能に影響を与える薬物の総称。精神興奮をしずめるトランキライザー、ある種の不安を抑える抗アセチルコリン薬、疲労感を消失させて敏活にする精神賦活薬など。

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改訂新版 世界大百科事典 「向精神薬」の意味・わかりやすい解説

向精神薬 (こうせいしんやく)
psychotropic drug

脳に作用する薬は麻酔薬,解熱鎮痛薬,抗痙攣(けいれん)薬などたくさんあるが,選択的に精神状態に影響を与える薬全体を向精神薬という。したがって,精神病を治す薬はもちろん,精神異常を起こさせるものまでをも含む。

精神病を薬で治したという最も古い記録はギリシア神話にみられる。プロイトスProitosの娘たちが女神ヘラの怒りにふれて精神異常になったとき,予言者メランプスがヘリボリと称する薬を飲ませ,アルカディアの泉で水浴びさせてこれを治した,という。これは抗精神病薬というよりも下剤の一種であり,暗示効果をねらったのであろう。ホメロスの《オデュッセイア》には次のような物語がある。〈オデュッセウスの子テレマコスは,トロイアの攻城と自国の不幸を話したところ,同国人が悲しんで皆泣きだした。そこでゼウスの娘ヘレネは香油の一種であるネペンテスを彼らの盃についでやった。これを飲むと,たとえ目の前で肉親が殺されても悲しまない。香油を名産とするエジプトで生まれたポリュダムナPolydamnaがこれをヘレネに与えたのだった〉。これが精神状態を抗不安薬で良くした最古の記録である。このほかにアヘンとブドウ酒が有効だと古くから信じられてきた。アヘンは前4000年にすでに採集され,ヒッポクラテスもこれを使ったという。T.シデナムはアヘンチンキをうつ病の治療に使った。古代ギリシアではユリ科のバイケイソウをうつ病の治療に用いた。エジプト人はナス科のベラドンナ(アトロピンとヒヨスチアミンを含む)を睡眠薬として使い,フェニキア人はうつ病者に与えた。B.ハウゼは1918年にスコポラミンとモルヒネを併せて自白剤とした。スコポラミンとクロラローゼが自白剤に使われたこともある。G.コベルトが1887年にスコポラミンの鎮静作用を発見して以来,1952年までスコポラミンが臭化カリとともに鎮静薬として長く愛用された。大麻(マリファナ,ハシーシュ)も約3000年前から世界中で使われ,宗教ことにイスラム教で利用された。イスマーイール派の一派ニザール派はアサッシンの異名で知られるが,彼らは大麻(ハシーシュ)をのんで勇気づけをしてから暗殺に出かけたといい,マルコ・ポーロもこの話を伝えている。同様な目的に北欧の海賊たちは毒キノコを食べ,野獣のように勇猛になったという。キノコで神がかり状態になるのをメキシコのインディオは宗教儀式に利用した。ペヨーテも同じ目的に使われた。19世紀になって多くの薬がつくられ,1850年に臭素が性欲を抑えること,翌年にはその抗てんかん作用が発見された。69年に抱水クロラールが睡眠薬に使われ,1903年にはバルビタールも合成された。しかし,実際に精神治療薬が現れたのは第2次大戦後である。49年にオーストラリアのケイドがリチウムの抗躁(そう)病作用をみつけた。52年には抗ヒスタミン薬と抗マラリア薬との交点にあったクロルプロマジンと,インドの民間療法から発見されたレセルピンとがつくられ,劇的な抗精神病作用をもつことがわかった。筋弛緩薬,メフェネシンの誘導体であるメプロバメートに抗不安作用が確かめられたのは55年であった。これら3種の薬の発見が引金となって,現在までに約200種の精神治療薬が市販されるにいたった。他方,1943年のLSD-25発見がきわめて微量で精神状態を激変させることを明らかにしたので,精神病も実は類似の毒素が体内で発生すると起きるのではないかという推論が有力になり,精神病の成因や化学療法をめぐって精神化学と精神薬理学が急速に発展することになった。現代精神医学の父と呼ばれるE.クレペリンも実は1892年に薬物が精神作業に及ぼす影響を研究していたし,モロー・ド・ツールJ.J.Moreau de Tours(1804-84)は大麻による精神異常を観察して《ハシーシュと精神病》(1845)という400ページの本を書いていた。ド・クインシーの《アヘン常用者の告白》(1822)やボードレールの《人工楽園》(1860)もあるが,これらは薬の効果を詳しく観察したにとどまり,作用のしくみを解明できなかったので,向精神薬が科学的に研究されはじめたのは1952年の精神薬理学スタートの年とすべきであろう。精神薬理学の一分野として行動薬理学behavioral pharmacologyが発達し,ちょうど現れてきたK.ローレンツらによる動物行動学と手を携えて,動物やヒトの心理の解明に貢献することになった。

向精神薬の最大の貢献は精神障害を治せるようになったことであり,それまでほとんど治療手段がなくて隔離監禁放置されていた患者が速やかに社会復帰できるようになった。アメリカでは薬物療法の普及によって精神病院が激減しつつある。向精神薬の分類は表に示したとおりである。

 向精神薬が脳のどこへどのように働くかについてはまだよくわからないが,抗不安薬は大脳辺縁系ことに海馬や扁桃核に働くといわれ,ベンゾジアゼピン系の薬(現在の抗不安薬のほぼ全部)は特殊な受容体をもっているらしい。抗精神病薬はセロトニンカテコールアミンという神経刺激伝達物質のバランスを調整することによって働くと考えられてきたが,最近では脳内,とくに中脳皮質のドーパミン受容体を遮断することによる,とされている。このことから統合失調症の病因も推論されはじめた。抗精神病薬の副作用として手の震え,そわそわと落ち着かない,などの錐体外路症状が現れるが,これも錐体外路中枢でのドーパミン遮断で起きる。抗パーキンソン薬を併用すればこの副作用を抑えることができる。統合失調症には抗精神病薬を数年にわたって長期与薬しなければならぬが,あまり長くなると口や舌がもぞもぞと動いてしまう遅発性ジスキネジアと呼ぶ副作用が出る。これを治すのは難しい。抗精神病薬のうちペルフェナジンやトリフロペラジンなどのように興奮作用をもつ薬は,意欲を失って無欲・無動傾向を示す古い統合失調症に対しては自発性を促すので著しい効果を表すが,被害妄想や不安の強い新しい病者に使うと悪化させる。逆に,古い患者にいつまでも抑制力の強いクロルプロマジンなどを使っていると動きが鈍くなってしまう,など使い方が難しい。病気の機序が不明なところへ,作用のしくみがよくわかっていない精神治療薬を与えて治そうというのには無理がある。どちらか一つでも明らかになれば向精神薬は飛躍的に進歩しよう。20世紀は身体の薬が主流を占めたが,21世紀は向精神薬の時代といわれ,すでにその移行期に入っている。
覚醒剤 →幻覚薬 →トランキライザー
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六訂版 家庭医学大全科 「向精神薬」の解説

向精神薬
こうせいしんやく
Psychotropic drug
(中毒と環境因子による病気)

 脳に作用して脳のはたらきに影響する薬を総称して向精神薬といいます。効き目が強く精神疾患に用いられる抗精神病薬や、うつ病に用いられる抗うつ薬などがあります。

①抗精神病薬中毒

 一般に精神を鎮静化させるもので、眠気をおぼえ、判断が鈍くなり、周囲に無関心になるので、車の運転や危険な作業はひかえる必要があります。また、血管、呼吸、消化器などすべての体の自律神経系を抑えるため、起立性低血圧・不整脈、呼吸抑制、口の渇き、鼻づまり、光がまぶしい、尿が出せなくなる(尿閉(にょうへい))、嘔吐やイレウス腸閉塞)などもみられます。

 さらに筋の動きや運動を調節する錐体外路系(すいたいがいろけい)に作用して、パーキンソン症候群を起こします。肝臓や骨髄(こつずい)にも作用して、黄疸(おうだん)白血球減少症も起こします。

 最も有名なものが悪性症候群で、急激な高熱、筋強剛(きょうごう)(筋肉が硬くなる)、頻脈(ひんみゃく)、発汗、血圧上昇、頻呼吸、意識障害、無言、無動などがみられ、危険な状態になります。ただちに服薬を中止して医師の診察を受けてください。

②抗うつ薬中毒

 うつ病の治療には、三環系・四環系抗うつ薬(イミプラミン、アンセリンなど)や、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(パロキセチンなど)が用いられています。通常量服用の100万人あたりの致死中毒数は、前者で10~30人以上、後者で10人以下とされています。

 中毒症状では、①心臓毒性(不整脈、心停止、低血圧)、②昏睡(こんすい)せん妄、精神状態の悪化、あせり、発汗、筋の協調障害)、③けいれんがみられます。そのほか、ミオクローヌス(筋肉がピクピク動く)、震えがみられ、筋障害、腎不全妄想(もうそう)高血圧便秘緑内障(りょくないしょう)呼吸不全を起こすこともあります。なお、(そう)状態に用いられるリチウム剤でも、嘔吐、下痢、意識障害、けいれん、乏尿(ぼうにょう)(尿が著しく少なくなる)がみられます。

③睡眠薬中毒

 以前はバルビツール系の薬が多く使われ、自殺などにも用いられましたが、最近ではベンゾジアゼピン系の薬が用いられ、高い安全性と自然に近い睡眠作用が得られています。しかし、大量摂取では中毒を起こします。中毒の大部分は、自殺目的によるものです。いずれも主症状は、意識障害、血圧低下、呼吸抑制です。

 バルビツール系の薬では、連用すると慣れ(耐性)が現れやすく、徐々に量が増え、また、やめられなくなります(依存症)。服用をやめると精神不穏、震え、立ちくらみ、けいれんが起こり、異常な精神状態になります(退薬症候群)。

 ベンゾジアゼピン系の薬は、一般に摂取量が多くても生命の危険は少ないとされていますが、重症例では、前述の向精神薬中毒と同じ症状がみられることがあります。特殊な拮抗薬として、フルマゼニル(アネキセート)があります。

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最新 心理学事典 「向精神薬」の解説

こうせいしんやく
向精神薬
psychotropic drug

向精神薬とは,広義には中枢神経系に作用して行動や精神に影響を与える薬物の総称である。狭義には「麻薬及び向精神薬取締法」の第2条に定める薬物で,乱用の恐れがある麻酔薬や抗不安薬などをいう。本項では,主に精神科領域で治療に用いられる薬物について解説する。

 抗精神病薬antipsychoticは統合失調症の治療に用いられる薬物である。クロルプロマジン,ハロペリドールなどが古典的な抗精神病薬で,今日では定型抗精神病薬とよばれる。定型抗精神病薬はドーパミンD2受容体を遮断し,幻覚や妄想など統合失調症の陽性症状を改善する。ただしドーパミン受容体遮断作用により,錐体外路系の運動障害を起こす副作用がある。この副作用を軽減する目的で開発された薬物が非定型抗精神病薬である。代表的な非定型抗精神病薬にはリスペリドン,クエチアピン,オランザピンなどがある。これらの薬物は,ドーパミンD2受容体に加えてセロトニン2A受容体を遮断する。近年,日本で開発されたアリピプラゾールはD2受容体を部分的に刺激する作用をもち,ドーパミン系の機能を安定化させることによって治療効果を発揮すると考えられている。

 抗うつ薬antidepressantは抑うつ症状の改善に効果があるが,焦燥感を抑えるもの,賦活効果の強いものなど,臨床的には個別の薬物によってさまざまな特徴がある。基礎薬理学的にはセロトニンあるいはノルアドレナリン,もしくはこれら両者の再取り込みを阻害する。抗うつ薬の効果は遅効性であり,臨床効果の発現までには少なくとも2週間以上の服用が必要である。再取り込み阻害によってシナプス間隙の神経伝達物質濃度が上昇し,この状態が続くことによってシナプス後神経細胞にある受容体の感受性が低下する。このことが臨床効果の背景であると考えられている。古典的な抗うつ薬にはイミプラミン,ミアンセリンなどがある。セロトニン系のみに作用するものを選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)とよび,フルオキセチン,フルボキサミン,パロキセチンなどがある。一部の抗うつ薬は不安障害の治療にも用いられている。なお,気分障害のうち躁病には炭酸リチウム,双極性障害にはバルプロ酸やカルバマゼピンなどの抗てんかん薬が使われる。

 抗不安薬anxiolyticは精神的な緊張を解き,リラックスした気分をもたらす。古典的な抗不安薬はベンゾジアゼピンとよばれる化学構造をもち,オメガ受容体に作用してGABA(γアミノ酪酸)系の抑制機能を強める。抗不安効果,筋弛緩効果,抗痙攣効果をもち,現在では睡眠導入薬として用いられることも多い。ジアゼパム,アルプラゾラムなどが代表的なもので,作用持続時間によっていろいろな種類がある。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬には,筋弛緩作用によるふらつきやGABA系の増強による眠気,さらに依存性などの問題があったため,眠気やふらつきを起こさない抗不安薬として,セロトニン1A受容体に作用する薬物が開発された。タンドスピロンがその代表的なものである。セロトニン系の抗不安薬は効果発現までに時間がかかる。

 向精神薬の作用を研究する学問が精神薬理学psychopharmacologyである。精神薬理学は心理学と薬理学が結合した新領域として1950年代のヨーロッパとアメリカで生まれた。現代の精神薬理学は分子生物学,神経科学,精神医学を包含する広大な学際領域である。精神薬理学の中でも動物の行動を使って薬物の効果を研究する領域を行動薬理学behavioral pharmacologyという。 →覚醒剤 →気分障害 →幻覚剤 →統合失調症
〔廣中 直行〕

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百科事典マイペディア 「向精神薬」の意味・わかりやすい解説

向精神薬【こうせいしんやく】

人間の精神機能に影響を及ぼす薬剤すなわち嗜癖(しへき)薬,幻覚発現物質,酩酊(めいてい)薬,催眠・鎮静薬,精神病治療薬などの総称。嗜癖薬としてはアヘンヘロインヒロポン,幻覚発現物質としてはメスカリン,LSDエフェドリン,酩酊薬としてはアルコールエーテル,催眠・鎮静薬としてはブロバリン,イソミタール,メプロバメートなどがある。精神病治療薬は,精神疾患に伴う不安,興奮,幻覚,妄想(もうそう),鬱(うつ)的気分,抑制,倦怠(けんたい)感,意欲低下などの状態を鎮静,改善,賦活するもので,クロルプロマジン,フェノチアジン,イミプラミン,レセルピンなど多くの薬剤がある。→麻薬取締法向精神薬条約
→関連項目人格障害精神分裂病精神薬理学躁病電気ショック療法ペヨーテ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「向精神薬」の意味・わかりやすい解説

向精神薬
こうせいしんやく

中枢神経系に作用して精神状態や精神機能に影響を与える薬物の総称である。1943年スイスの化学者ホフマンによりLSD‐25が発見され、同じくスイスの化学者ストールArthur Stoll(1887―1971)によりその幻覚発現の作用が確認され、薬物と精神作用との関係が解明され始めた。1952年のクロルプロマジンの発見により精神病の治療に薬物が用いられるようになり、フェノチアジン系のメジャートランキライザー(強力精神安定剤)が多く開発され、一方ではクロルジアゼポキシドをはじめとするマイナートランキライザー(穏和精神安定剤)が出現し、精神機能に影響を与える薬物が多く開発されてきた。

 向精神薬は研究途上のものも多く、その分類はいまだ確立していないが、臨床的立場から薬物の精神機能に及ぼす影響を特徴別に分けた分類がある。その分類によると、向精神薬を精神治療薬と精神異常発現薬とに2大別し、前者を精神抑制薬と精神賦活(ふかつ)薬(抗うつ剤)に分ける。精神抑制薬には睡眠薬、精神抑制薬(抗精神病薬)、静穏薬(抗不安薬)の三つが、また精神賦活薬には感情抑制薬と感情興奮薬、精神刺激薬がある。精神異常発現薬にはコカイン、モルヒネのような多幸化薬と、LSD‐25、メスカリン、プシロシビンのような幻覚発現薬がある。

 向精神薬の主流を占める抗精神病薬には、クロルプロマジンをはじめとするフェノチアジン系、インドジャボクのアルカロイドのレセルピン、ブチロフェノン系、チオチキセン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、炭酸リチウムがある。静穏薬としてはヒドロキジンなどのジフェニルメタン誘導体、クロルジアゼポキシド、ジアゼパムをはじめとするベンゾジアゼピン誘導体がある。感情抑制薬にはイミプラミン、アミトリプチリンなど三環系抗うつ剤といわれるもの、感情興奮薬にはモノアミン酸化酵素阻害剤があり、精神刺激薬としては覚醒(かくせい)剤のアンフェタミン、メタンフェタミンのほかピペラドロールがあげられる。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「向精神薬」の意味・わかりやすい解説

向精神薬
こうせいしんやく
psychotropic drugs; psychoactive drugs

精神状態に作用する薬物。狭義には精神治療薬のことをいうが,正確には精神異常発現薬 (サイケデリック剤) やアルコールなども含まれる。精神治療薬には抗精神病薬 (メジャートランキライザ) ,抗うつ剤,精神賦活剤,抗不安剤 (マイナートランキライザ) ,鎮静催眠剤,抗てんかん剤のほか,鎮痛剤,麻酔薬なども含まれる。多くの向精神薬やアルコールでは依存形成性が問題になる。特に身体依存を形成するアルコール,バルビツール酸系および非バルビツール酸系鎮静剤,抗不安剤,アヘン系薬物,アヘン類似鎮痛剤はいうまでもなく,強い精神依存を形成するニコチン,アンフェタミン,プレルジン,コカインなども,流通機構にきびしい行政的統制を受けている。多くの向精神薬は治療薬と精神異常発現薬の両面をもっているが,有機溶剤 (トルエンなど) やニコチンのように,治療薬としてはまったく用いられないものもある。

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栄養・生化学辞典 「向精神薬」の解説

向精神薬

 各種精神病に対して効果を示す物質.また,少量の投与で精神病に似た症状を示す薬物も含める.抗うつ薬,精神安定薬など.

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世界大百科事典(旧版)内の向精神薬の言及

【精神薬理学】より

…一次的に精神状態に影響する薬を向精神薬と呼び,それに関する薬理学が精神薬理学である。つまり,心を動かす薬の,生理的影響,吸収,代謝,排出,治療への応用,などを調べる学問である。…

※「向精神薬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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