情識(読み)ジョウシキ

デジタル大辞泉 「情識」の意味・読み・例文・類語

じょう‐しき〔ジヤウ‐〕【情識】

[名・形動ナリ]
仏語。心。迷いの心。
強情であること。また、そのさま。頑固。
稽古はつよかれ、―はなかれとなり」〈花伝・序〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「情識」の意味・読み・例文・類語

じょう‐しきジャウ‥【情識】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。心。迷いの心。本能のままの心の作用。
    1. [初出の実例]「先づ応用(おうゆう)を以て情識(シャウシキ)を助け」(出典:米沢本沙石集(1283)二)
  3. ( 形動 ) 強情、頑固であること。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「稽古はつよかれ、情識(ジャウシキ)はなかれと也」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)序)
    2. 「模様といふは、我慢情識にして、存分を立んと論ずる事勿れ」(出典:ぎやどぺかどる(1599)下)
    3. 「私の情識を捨て、古人の金言を頼み」(出典:葉隠(1716頃)一)

情識の語誌

鎌倉時代は主として禅僧の用語か。禅籍の抄物等では室町時代以後も原義を保っているが、やがて通俗の世界で「自分の考えに執着して改めようとしないこと(=我執)」の意が生じ、それがキリシタン資料において特徴的に認められる形容動詞形をも生んだ。

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