古人(読み)フルヒト

デジタル大辞泉 「古人」の意味・読み・例文・類語

ふる‐ひと【古人/故人/旧人】

《「ふるびと」とも》
昔の人。すでに死んだ人。こじん。
妹らがり今木のみねに茂り立つつま松の木は―見けむ」〈・一七九五〉
年をとった人。老人
「―は涙もとどめあへず」〈明石
古くからいる人。古参の人。
「右近は、何の人数ならねど…―の数に仕うまつり馴れたり」〈玉鬘
昔なじみの人。
「かげろふのそれかあらぬか春雨の―なれば袖ぞぬれぬる」〈古今・恋四〉
昔風の考えの人。古風な人。
「あやしき―にこそあれ。かく物づつみしたる人は」〈行幸

こ‐じん【古人】

昔の人。また、昔のすぐれた人。「古人の教えに学ぶ」⇔今人こんじん
[類語]先人前人

いにしえ‐びと〔いにしへ‐〕【古人】

昔の世の人。古人こじん
「―の心なほく、詞みやびやかに」〈歌意考
前に親しくしていた人。昔なじみ。旧知
眉根まよね掻き下いふかしみ思へるに―をあひ見つるかも」〈・二六一四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「古人」の意味・読み・例文・類語

こ‐じん【古人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 昔の人。いにしえの人。また、昔のすぐれた人。
    1. [初出の実例]「古人有言。損有余不足。天之道也」(出典続日本紀‐天平宝字元年(757)八月甲午)
    2. 「日々旅にして旅を栖(すみか)とす。古人も多く旅に死せるあり」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)旅立)
    3. [その他の文献]〔詩経‐邶風・緑衣〕
  3. 年老いた人。老人。故人
    1. [初出の実例]「古人眠り早く覚めて、夢は六十歳の花に過ぎ」(出典:謡曲・養老(1430頃))
  4. 昔かたぎの人。昔もの。
    1. [初出の実例]「又此紹巴法橋かたりくおほき人にて、あしくいふ事もあれども、さすが古人にて、殊勝のこころ持給へり」(出典:随筆・戴恩記(1644頃)下)
  5. こじん(故人)
    1. [初出の実例]「一面相逢如旧識、交情自与古人斉」(出典:文華秀麗集(818)上・和渤海大使見寄之作〈坂上今継〉)
  6. こじん(故人)
    1. [初出の実例]「君不見古人太祇か句 藪入の寝るやひとりの親の側」(出典:俳諧・夜半楽(1777)春風馬堤曲)

ふる‐びと【古人・旧人・故人】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「ふるひと」 )
  2. 昔の人。すでに死んだ人。こじん。
    1. [初出の実例]「妹らがり今木の嶺に茂り立つつま松の木は古人(ふるひと)見けむ」(出典:万葉集(8C後)九・一七九五)
  3. 年をとった人。老人。
    1. [初出の実例]「ふる人は、涙もとどめあへず」(出典:青表紙一本源氏(1001‐14頃)明石)
  4. 古くからいる人。以前からそこにいる人。古参の人。
    1. [初出の実例]「かくて、あて宮の御方に、殿守といふふる人ありけり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)
  5. 古くから交際している人。昔なじみの人。また、かつて交わりのあった人。
    1. [初出の実例]「古人(ふるひと)の食(たま)へしめたる吉備の酒病まばすべなし貫簀賜らむ」(出典:万葉集(8C後)四・五五四)
  6. 昔かたぎの人。古風な考えの人。
    1. [初出の実例]「あやしきふる人にこそあれ。かく、物つつみしたる人は、ひきいりたるこそよけれ。さすがに、恥ぢがましや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)行幸)

ふるき【古】 人(ひと)

  1. ( 「古人(こじん)」の訓読み )
  2. 昔の人。こじん。いにしえびと。
    1. [初出の実例]「古人(フルキヒト)の云(いは)追悔(をいくゆ)れども及(をよ)ぶこと無しと云へるは此(こ)の謂(い)ひなり」(出典:日本書紀(720)欽明二年七月(北野本訓))
  3. 年をとった人。老練な人。また、知識経験の豊かな人。
    1. [初出の実例]「今はふるき人とては成頼・親範ばかり也」(出典:平家物語(13C前)三)

いにしえ‐びといにしへ‥【古人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 昔の世の人。古人。また、特に上代の人。いにしえのひと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  3. 古くから親しくしていた人。昔なじみや昔のつれあい。
    1. [初出の実例]「眉(まよ)ねかき下いふかしみ思へるに去家人(いにしへびと)をあひ見つるかも」(出典:万葉集(8C後)一一・二六一四)
  4. 古風な人。いにしえのひと。

ふるめき‐びと【古人】

  1. 〘 名詞 〙 古風な人。昔かたぎの人。
    1. [初出の実例]「世になきふるめき人にて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)

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普及版 字通 「古人」の読み・字形・画数・意味

【古人】こじん

昔の人。唐・李白〔酒を把りて月に問ふ〕詩 古人今人、水の(ごと)し 共にを看る、皆此(かく)の如し

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