慈興(読み)じこう

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「慈興」の解説

慈興 じこう

伝説上の僧。
和漢三才図会」などによれば,大宝(たいほう)元年(701)熊に姿をかえた阿弥陀如来(あみだにょらい)にみちびかれ越中(富山県)の立山をひらいたという。俗名佐伯有頼(ありより),あるいはその父有若とされてきたが,昭和になり郷土史家の木倉豊信によって,有若は延喜(えんぎ)5年(905)に越中守として実在したことがあきらかになった。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の慈興の言及

【立山】より

…立山の開山伝説によれば,越中国守の佐伯有若の嫡男有頼が,父の白鷹をかりて鷹狩りに山に入り,山中で熊を射ると,その熊が阿弥陀如来に変じた。このため有頼は受戒し,慈興と改名したという。立山信仰の中核は,立山を立山権現の本地仏阿弥陀如来の極楽浄土とみる信仰と,地獄谷を中心とする立山地獄の信仰であった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」