江戸時代の図解入り百科事典。正徳(しょうとく)2年(1712)序、寺島良安(てらじまりょうあん)編で大坂杏林堂(きょうりんどう)より刊行。105巻81冊。全体を天文、人倫から草木まで96類に分かって、和漢の事物を収容し、平易な漢文で各事物に簡明な説明と図を入れている。各事項は、広く国内を旅行して実地踏査し、種類、製法、用途、薬効などを明記して客観的、合理的な解説を施し、図解は分析的である。ただ、神社仏閣の場合には歴史よりも縁起をとり、公卿(くぎょう)や有職(ゆうそく)は伝承のままを記さざるをえなかったと凡例に記している。その明解、正確さによって発行から約200年間、明治時代に至るまで広く実用された。編者の良安は大坂の医師で、法橋(ほっきょう)和気仲安(わけちゅうあん)の高弟。「天地人を知って医術は生かせる」という師の教えに従って記録したものを、明(みん)の王圻(おうき)の『三才図会』106巻の体裁によったという。
[彌吉光長]
『寺島良安編『和漢三才図会』全16巻(1979~80・新典社)』▽『寺島良安編、島田勇雄他訳注『和漢三才図会』18冊(東洋文庫・平凡社)』
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江戸中期の図解百科事典。105巻。大坂の医師寺島良安(りょうあん)編。1712年(正徳2)の自序がある。原漢文。明の王圻(おうき)編「三才図会」にならい,天上・地上・人事の三才を網羅する。巻14の外夷人物のように「三才図会」の記述にほとんど拠っている巻もあるが,和漢の書を渉猟し,みずからの意見・解釈をも表明している。ただし武士にかかわることは多くが省略されており,出版前後の幕府権力への慎重な対応も指摘される。項目ごとに異名・和名を併記し,唐音も表示するなど,図解以外にも利用上の種々の便宜がはかられている。「東洋文庫」所収。
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…著名なものとしては宋の李昉(りぼう)らが勅命で編纂した《太平御覧(たいへいぎよらん)》や王欽若(おうきんじやく)が編集した《冊府元亀(さつぷげんき)》,明の王圻(おうき)が親子2代で撰した《三才図会(さんさいずえ)》がある。いずれも天文・地理から始めて草本に終わる分類百科全書であって,日本でも江戸時代に寺島良安によって《和漢三才図会》(1712)ができている。しかしとくに動植物については別に〈本草書〉の伝統があり,梁の陶弘景が漢末の混乱で散逸した本草書を整理し,《神農本草》《名医別録》を基に《神農本草経》の定本を著したのに始まり,李時珍の《本草綱目》で完成した。…
…精気を蔵する腎は五液をつかさどる。《和漢三才図会》によれば,肝に入って泪(なみだ)となり,肺に行くのは鼻汁,脾に入るのは涎,心臓に行けば汗で,腎自身にあるのが唾液である。この腎液である唾液が舌下の二穴より流出し,別称〈霊液〉ともいう。…
…数々の訓蒙図彙をみると,江戸時代前期の常識を知ることができる。こうしたなかで,近世の百科事典を代表する寺島良安の《和漢三才図会(わかんさんさいずえ)》105巻が現れた。良安は,明末に王圻が編纂した図入りの類書《三才図会》にならって,30年を費やして1713年(正徳3)にこれを完成させたが,両者を比べてみると,明末の隠士の古典を中心とした知的世界と,元禄時代の大坂で活動した医者の知識のあり方の違いが,よく表れている。…
※「和漢三才図会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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