家庭医学館 「慢性静脈不全症」の解説
まんせいじょうみゃくふぜんしょう【慢性静脈不全症 Chronic Venous Insufficiency】
静脈の還流障害(かんりゅうしょうがい)が慢性化して下肢(かし)に血液がうっ滞(たい)することでおこる病気で、下肢のむくみ、腫(は)れ、痛み、しこり、湿疹(しっしん)、色素沈着や潰瘍(かいよう)など、多彩な症状をともないます。
[原因]
深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)が原因となる場合と、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)が原因となる場合とがあります。
深部静脈血栓症の経過が順調な場合は血流が再開通しますが、狭窄(きょうさく)が残ったり、側副血行路(そくふくけっこうろ)(バイパスの血管)の発達が悪かったり、あるいは血栓のために弁がこわれて逆流したりするようになると、下肢に血液がうっ滞し、慢性静脈還流障害(まんせいじょうみゃくかんりゅうしょうがい)となります。これを静脈血栓後遺症(じょうみゃくけっせんこういしょう)ともいい、慢性静脈不全症の原因でもっとも多いものです。
一次性静脈瘤(いちじせいじょうみゃくりゅう)も原因となります。表在静脈の逆流の程度と慢性静脈不全症の重症度とは関係があり、逆流が高度な場合は潰瘍ができることもあります。
[治療]
原因疾患別に治療を行ないます。下腿潰瘍(かたいかいよう)の場合は、入院して安静にする必要があります。深部静脈に対して、弁形成術(べんけいせいじゅつ)、ストリッピング(血管抜去術(けっかんばっきょじゅつ))や植皮術(しょくひじゅつ)が行なわれることもあります。