朝日日本歴史人物事典 「懐機」の解説
懐機
尚巴志王代の琉球王国の国相。中国からの渡来人か。初代尚思紹から5代尚金福に至る第一尚氏歴代の王に仕えた。2代尚巴志代に国相となり,三山統一や中国への進貢貿易に尽力した。尚巴志6(1427)年建立の琉球最古の金石文である「安国山樹華木之記碑」に,北京に派遣されたこと,王城外に池(竜潭)を掘ったことがみえている。また旧港(パレンバン)の宣撫使や中国竜虎山の天師大人(道教教主)に文書や礼物を送っており(『歴代宝案』),その権威の高さがうかがわれる。尚金福王代(1450~53)には那覇と泊を結ぶ長虹堤を創建している。古琉球王国草創期の注目の人物である。
(田名真之)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報