手ずつ(読み)てずつ

精選版 日本国語大辞典 「手ずつ」の意味・読み・例文・類語

て‐ずつ ‥づつ【手ずつ】

〘名〙 (形動)
拙劣なこと。へたなこと。また、そのさま。無器用。不細工。不調法。
紫式部日記(1010頃か)消息文「一といふ文字をだにかきわたし侍らず、いとてづつにあさましくはべり」
無名抄(1211頃)「さほどにてつつにていかにして下の句をば思ひ寄りけるにかとおぼえ侍なり」
浄瑠璃薩摩歌(1711頃)中「針道ちがひ着にくしと、手づつのうき名は取るまいとよ」
② 不便なこと。融通がきかないこと。また、そのさま。
※今鏡(1170)五「日本はゆゆしくてづつなる国かな」
[補注](1)手の約(つづ)しい意から生じた語か。平安時代には「口づつ」(口下手の意)という語もあったが、「手づつ」は鎌倉時代にはいると手の意が失せて拙劣の意だけとなり、「口てづつ」という語を生んでいる。
(2)江戸時代には「手づつ」を訛って「手づち」ともいい、連想で「槌の子」ともいった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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