打ち回す（読み）うちまわす

精選版 日本国語大辞典

うち‐まわ・す‥まはす【打回・打廻】

1. 〘 他動詞 サ行五（四） 〙
2. ① ( 「うち」は「張る」などの意 ) 張り巡らす。構え巡らす。
   1. [初出の実例]「何が幕打まわし屏風を立て」(出典：虎寛本狂言・茫々頭（室町末‐近世初）)
3. ② ( 「うち」は接頭語 ) 周囲をぐるりととりまく。
   1. [初出の実例]「四方打まわいて山なり」(出典：詩学大成抄（1558‐70頃）四)
4. ③ ( 「うち」は接頭語 ) まわらせる。迂回(うかい)させる。方向を転じさせる。
   1. [初出の実例]「京極をのぼりにうち廻(マハシ)て」(出典：金刀比羅本保元（1220頃か）中)
5. ④ （芸人などが）興行をうって各地を回る。
   1. [初出の実例]「方々を打ち廻して居ります内に、伊予の宇和島へ出て」(出典：落語・田能久（1898）〈四代目橘家円蔵〉)

ぶち‐まわ・す‥まはす【打回】

1. 〘 他動詞 サ行五段活用 〙
2. ① ひどく打つ。ぶんなぐる。
   1. [初出の実例]「面とむかって『ぶちまはすぞ』と威かす五番松山さんの凄まじさ」(出典：オリンポスの果実（1940）〈田中英光〉二)
3. ② ( 「ぶち」は接頭語 ) 勢いよくまわす。ぶんまわす。
   1. [初出の実例]「幕をぶち廻し、其かげで米でもかんだがよかんべい」(出典：雑兵物語（1683頃）下)

出典　精選版 日本国語大辞典