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興行 こうぎょう production

翻訳|production

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

興行
こうぎょう
production

各種の芸能やスポーツを,入場料を取って観客の観覧に供すること,またはその準備一切を含む事業。古代や中世では,演劇は国家やギルドによって主催され,あるいは旅芸人や貴族のおかかえ芸人による私的芸能であって,厳密な意味での興行は存在しなかった。

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デジタル大辞泉の解説

こう‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【興行】

[名](スル)
観客を集め、料金を取って演劇・音曲・映画・相撲・見世物などを催すこと。また、その催し物。「顔見世興行」「地方を回って興行する」
儀式などを催すこと。
「禅法の―天下にかまびそし」〈太平記・二四〉
初めて興し立てること。創建。創立。
「初めて伽藍たちばなの道成―の寺なれば」〈謡・道成寺
連歌や俳諧などの会を催すこと。
「四日、本坊において誹諧―」〈奥の細道

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世界大百科事典 第2版の解説

こうぎょう【興行】

観客を集め,また多くは入場料をとって,演劇(芸能),音楽,映画,スポーツなどの催しを行うこと。以下,その代表的存在といえる演劇興行について記述する。なお,映画の興行・配給システム等に関しては〈映画〉の項を,落語,講談等の諸種演芸の興行に関しては〈寄席〉の項をそれぞれ参照されたい。
[欧米の演劇興行]
 ギリシアローマ時代にあっては,演劇興行は〈国家〉的規模での祭典・祭礼と密接に結びついており,その意味では上演の主体は〈国家〉といってよく,職業的な演劇人もいなかったし,入場料制も存在しなかった。

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大辞林 第三版の解説

こうぎょう【興行】

( 名 ) スル
入場料を取って芸能・スポーツなどの催しを行うこと。また、その催し。 「地方-」 「 -場じよう」 「 -主」
法会・芸能・連歌・俳諧などの儀式や会を催すこと、またその会。 「灌頂-せらるべき由/平家 3
盛んに行われること。 「頃年禅法の-世に喧しく/太平記 24」 → 興業(補説欄)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

興行
こうぎょう

一般に有料で見物(観客)に供する催しをいい、今日では演劇、映画、音楽、舞踊などから、相撲(すもう)、ボクシングなどのスポーツ、サーカス、見せ物などに至る種々の娯楽の企画・公演をさす。普通、営利を目的とするが、慈善興行(チャリティー)や寄付興行などのように採算を考慮しないものもある。
 興行の発生をつきとめることは不可能に近いが、古代エジプト宮廷での祭司によるオシリスの儀礼や、古代中国の巫覡(ふげき)の歌舞、ついで古代ギリシアにおけるディオニソス祭礼での演劇上演などに、その原初の形態がみられる。しかし、これらのほとんどは王または国家の主催による宗教的行事の一部であり、入場料の徴収を前提とする今日的な意味での興行の概念からはほど遠い。さらに中世ヨーロッパにおける教会主催の各種の宗教劇の上演も、近代的な意味での興行とは異なる。ただ一方には、古代ローマのミモス(雑芸)の流れをくむ大道芸人や吟遊詩人たちの系統があり、彼らは自らの技芸を売り物にして各地を巡回するなど、今日の興行形態の先駆的存在であったとも考えられる。
 中世末から近世にかけては、世俗的な道徳劇(モラリティー)や受難劇(パッション)上演のための民間の組合が結成され、またイタリアのコメディア・デラルテなど職業俳優による劇団の活躍が盛んになったが、これらも依然として教会や王侯貴族の庇護(ひご)、監督の側面が強かった。イギリスのエリザベス朝における興行奉行Master of the Revelsの制度はその一例である。一方、近代的な興行師も出現するようになり、1637年、ベネチアのサン・カシアーノ劇場の所有者トロン家が、ローマのオペラ一座と賃貸契約を結んで『アンドロメダ』を上演したが、この風潮は他のヨーロッパ諸都市に広がった。ドイツでは1746年にドレスデンに公共劇場が設立され、フランスでは大革命以後多くの劇場がこれに倣い、イギリスでは1843年に劇場解放令が施行され、官許劇場以外での興行の自由化が認められた。さらに19世紀後半にはロシア、アメリカ合衆国も加わり、資本主義の発達に伴う興行の商業化・国際化とともに、興行も企業(ビジネス)の一つとして大きな位置を占めるようになった。
 近代以降の興行の形態は多様であるが、職能上三つに分けられる。興行師や劇団自身が収支を図る手打ち興行、興行師や劇団が劇場主に興行責任をゆだねる売り興行、両者の責任で収支の歩合を決める歩(合)興行である。また上演形態のうえからは、製作者がスタッフ・キャストまですべて統括するプロデューサー・システム、何本かの作品を交互に連続上演するレパートリー・システム、長期にわたる単独興行による収入の増加を図るロングラン・システムなどがある。なお、興行師を意味するインプレサリオimpresarioはイタリア語で、本来はオペラの興行主のことである。興行師は近年では、プロデューサーproducer、マネージャーmanager、あるいはエージェントagentなどとよばれることが多く、ヨーロッパの国立劇場では最高責任者がこの役割を果たしているのが普通である。[大島 勉]
 日本でも、芸能などの催しは、古くは料金をとって鑑賞させる形態をとらなかった。たとえば和歌会、舞楽、延年(えんねん)など、貴族、寺社、武家が催した芸能の機会を「興行」とよんだ記録がある。鎌倉時代になると、寺社の建立・修理や鐘の鋳造、そのほか架橋などの公共的事業のために寄付金を集める名目で入場料をとる「勧進興行」の形式が広く行われるようになった。中世の猿楽(さるがく)(能楽)、田楽(でんがく)、曲舞(くせまい)などの興行もこの形態で行われることが多かった。江戸初期の歌舞伎(かぶき)踊も「勧進興行」を看板に掲げた。出雲(いずも)の阿国(おくに)が出雲大社の巫女(みこ)と名のり、大社修復のための勧進興行であることを標榜(ひょうぼう)したのはこの例である。勧進興行の場合、主催者は芸能人自身だったが、やがて興行権所有者、俳優の雇用主、劇場所有者が共同主催者となり、興行に際して別に出資者を求めて行うようになる。江戸では三者の性格を兼ねる座元が金主(きんしゅ)(金方(きんかた))の出資を受け、上方(かみがた)では名代(なだい)、太夫元(たゆうもと)(座本)、小屋主の3人が銀主(銀方)の出資を得て興行を行った。江戸時代の歌舞伎や人形芝居の興行はおおむねこの形式で行われていた。
 歌舞伎の合理的な興行は1902年(明治35)に白井松次郎、大谷(おおたに)竹次郎によって始められた松竹(まつたけ)合名社(松竹(しょうちく)株式会社の母体)によって打ち立てられた。また、11年設立の帝国劇場が株式会社組織で興行を行い、近代的経営法を採用した。以後興行も合理的な企業会社組織によって行われるのが普通となった。こうして、「水もの」とされてきた興行も、かなり合理的な企業になりえたが、歌舞伎など純舞台演劇の興行は、人件費や制作費などの「仕込み」に多額の経費を要するわりに、観客の動員数が限られており、各種の制約もあるために営利上の不利は免れず、依然として「水もの」的性格を脱しきってはいない。現在歌舞伎の興行で行われている毎月約25日間、1日昼夜二部制の興行形態を大劇場で採用したのは1885年(明治18)1月大阪朝日座で昼夜別々の狂言を出したのが早く、東京では1923年(大正12)5月の帝劇が最初である。ただし、国立劇場では、原則として1日1回制の興行を行っている。[服部幸雄]

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世界大百科事典内の興行の言及

【観客団体】より

…しかし,ルネサンス以降,ことに17~18世紀から,俳優が職業化し,舞台が商品化して,観客が入場料を払うようになってから,あらためて観客の問題は意識的に俎上(そじよう)にのせられるようになった。19世紀に入り,営利事業化がいよいよ進むと,観客の側,興行の側ともどもから,実験的あるいは非営利的作品の上演や,レパートリー・システムの推進など,演劇芸術の擁護と発展を願いつつ,経済的に相互を利する観客の組織化が目立つようになり,各種の観客団体が生まれるにいたった。なかでも19世紀末ドイツに誕生した強大な組織〈民衆劇場〉や,20世紀に入っては1950年代に隆盛だったパリの〈国立民衆劇場(TNP)〉の熱烈な〈民衆演劇友の会〉などが著名で,上記のような目標実現に大いに貢献した。…

【マチネー】より

…演劇用語で昼間興行のことを指す。フランス語のmatinéeは,もともと〈午前中〉という意味であるが,そこから出て,通常の夜間興行に対して,午後に行われる演劇興行をいうようになった。…

【レパートリー・システム】より

…演劇用語。同一劇場で多くは専属の劇団が,一定数の演目(レパートリー)を毎晩換えて上演する興行方式をいう。通常レパートリーは,シーズンごとに定められる。…

【ロングラン・システム】より

…演劇用語。長期興行制度のことをいう。アメリカのブロードウェーで始められた興行方式で,一つの作品を観客動員が可能なかぎり連続して上演する。…

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