択伐林(読み)たくばつりん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「択伐林」の意味・わかりやすい解説

択伐林
たくばつりん

利用目的に適した大きさに成長した木を選んで切り、その跡に後継樹を育てて、つねに老幼大小さまざまな立木(りゅうぼく)で構成された林をいう。次代の後継樹の育成は天然更新による場合と植栽や直(じか)挿しによる場合がある。皆伐林では収穫一度に集中するが、択伐林では数年または十数年おきに収穫ができるので収入が安定する。また大径で良質・高価な材の生産に適している。さらに収穫のとき林床を裸出して表土を流すことがないので地力を害することがなく、林の構成が複雑なため気象害や病虫害に抵抗性が高いなど多くの利点がある。しかし、伐採のとき残す木を傷めないためには高度の技術が必要であり、路網の整備も必要で、後継樹を目的どおり育てる技術も複雑で高度な知識を必要とする。高度な技術を身につけた技術者が育てば、択伐林施業は望ましい施業である。数は少ないが優れた篤林家が択伐林の経営を行っている。

[蜂屋欣二・藤森隆郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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