押詰(読み)おしつめる

精選版 日本国語大辞典 「押詰」の意味・読み・例文・類語

おし‐つ・める【押詰】

[1] 〘他マ下一〙 おしつ・む 〘他マ下二〙
① おしてつめこむ。
② おして身動きできないようにする。ゆきづまらす。追いこむ。
落窪(10C後)二「御車ども先だてつ。〈略〉片輪を堀におしつめられて」
明暗(1916)〈夏目漱石〉七一「押(オ)し詰(ツ)める気ぢゃないけれども、解らないから、ついさうなるのよ」
③ 要約する。簡略にする。つづめる。
※彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉四「押しつめて端的にいえば」
[2] 〘自マ下一〙
年末になる。おしつまる。
浮世草子・好色盛衰記(1688)一「大分歳暮の御祝義。〈略〉をしつめてたづね給へ」
② 身動きできないほどつまる。
茶話(1915‐30)〈薄田泣菫停車場演説土地の人は〈略〉ぎっしり汽車の前に押(オ)しつめて来た」

おし‐つま・る【押詰】

〘自ラ五(四)〙
事態がさしせまる。切迫する。きわまる。
落紅(1899)〈内田魯庵〉五「娘が稼いで世帯(しょたい)を助(す)けたから〈略〉押迫(オシツマ)った世の中を奈何やら斯うやら凌いで」
年の暮れに近くなる。年末が近づく。
われから(1896)〈樋口一葉〉一一「十二月の十五日、世間おしつまりて人の往来大路いそがはしく」
③ 押されて間に余地がなくなる。
上海(1928‐31)〈横光利一〉三一「一団工人の群れが襲って来た。彼らの押し詰った団塊の肩は」

おし‐つまり【押詰】

〘名〙 物事が終わりに近づくこと。事態が切迫すること。特に、年末が近づくこと。また、その時期。おしつもり。
※半七捕物帳(1923)〈岡本綺堂〉春の雪解「去年の押詰(オシツマ)りに、寅松がどこからか窃(そっ)と舞戻って来て」

おし‐つめ【押詰】

〘名〙 年の暮。歳末。
※小津桂窓宛馬琴書簡‐天保四年(1833)一一月六日「どやらかうやらおしつめ迄に製本出来、うり出し候はば、これも正月御地え本廻り可申候」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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