拍子舞物(読み)ひょうしまいもの

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「拍子舞物」の意味・わかりやすい解説

拍子舞物
ひょうしまいもの

歌舞伎舞踊一種。一曲のなか拍子舞を挿入したもので,いずれも長唄の曲。拍子舞は,拍子に合せて舞い,またはみずからうたいながら舞うもの。三味線が用いられる以前は鼓一丁の調べに合せて舞ったもので,この古い様式を踏襲して,三味線伴奏の長唄に作曲された一曲のなかへ,鼓一丁の伴奏に合せる小舞式のものを挿入した。天明1 (1781) 年 11月3世沢村宗十郎と3世瀬川菊之丞初演の『蜘蛛拍子舞』,寛政5 (93) 年9月大谷鬼次ら初演の『鬼次拍子舞』などが伝わっている。

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世界大百科事典(旧版)内の拍子舞物の言及

【拍子舞】より

…拍子舞は,曲舞(くせまい)系統の白拍子舞の流れではないかと想像されている。この様式を利用して一曲の中にはめこんだ作品が,いわゆる拍子舞物で,一類型を形造った。《蜘蛛拍子舞》の剣問答,《吉原雀》の〈さあ来た又来た〉以下,《鬼次拍子舞》の長田太郎と松の前の詰め寄りなどにその形式が残っている。…

※「拍子舞物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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