拍子舞(読み)ヒョウシマイ

デジタル大辞泉 「拍子舞」の意味・読み・例文・類語

ひょうし‐まい〔ヒヤウシまひ〕【拍子舞】

歌舞伎舞踊で、地の三味線楽曲の一部を、演者拍子に合わせ、または歌いながら舞うもの。

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精選版 日本国語大辞典 「拍子舞」の意味・読み・例文・類語

ひょうし‐まいヒャウシまひ【拍子舞】

  1. 〘 名詞 〙 歌舞伎舞踊の一種で、地の三味線に乗り、演者がみずから歌いながら拍子をとって踊る小舞式のもの。
    1. [初出の実例]「拍子(ひゃうし)ききにて拍子舞(マイ)上手也」(出典評判記・野郎立役舞台大鏡(1687)竹嶋幸左衛門)

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改訂新版 世界大百科事典 「拍子舞」の意味・わかりやすい解説

拍子舞 (ひょうしまい)

歌舞伎舞踊の一様式。地の音楽に三味線を用い,演者が拍子に合わせ,みずから唄いながら舞う小舞風の様式をいう。本来は三味線を使わず,鼓一挺の拍子に合わせて唄い舞ったものである。初期歌舞伎における拍子舞は,《舞曲扇林》に〈拍子舞の始りは右にいふ竹嶋幸左衛門親日本伝介也。それより小舞太郎兵衛,松本市郎兵衛,小舞庄左衛門也〉とあるように,女歌舞伎時代に猿若の名人と称された日本伝助を始祖に擬している。この伝承を見ても,拍子舞が,狂言師によってもたらされた〈小舞〉と深い関係を持ちながらも,それとは別の芸態のものであったことが知られる。拍子舞は,曲舞(くせまい)系統の白拍子舞の流れではないかと想像されている。この様式を利用して一曲の中にはめこんだ作品が,いわゆる拍子舞物で,一類型を形造った。《蜘蛛拍子舞》の剣問答,《吉原雀》の〈さあ来た又来た〉以下,《鬼次拍子舞》の長田太郎と松の前の詰め寄りなどにその形式が残っている。元禄期(1688-1704)には,〈拍子事〉と呼ぶ演技様式の類型があった。これは,拍子にかかって踊ることを指すと思われ,〈所作事〉の別称としても用いられているので,拍子舞と直接の関係はないと思われる。
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世界大百科事典(旧版)内の拍子舞の言及

【男舞】より

…(1)平安時代末期から鎌倉時代にかけて流行した白拍子(しらびようし)舞の別名。水干に立烏帽子,白鞘巻の太刀という男装束で主に高級遊女が舞った。…

【拍子】より

…ただし,これは雅楽の小拍子のレベルの拍子であり,したがって,組歌の1歌が64拍子だとか,段物の1段は52拍子というように,雅楽の場合よりその数はずっと多くなる。一方,歌舞伎の所作事(しよさごと)では,槌(つち)拍子や足拍子などのリズムのおもしろさを強調する場面の音楽として,《供奴》や《小鍛冶》などの拍子の合方(あいかた)があり,また,俳優がみずからうたいながら踊る形式を拍子舞といい,《蜘蛛拍子舞(くものひようしまい)》などが,拍子舞部分を含む曲の代表的なものである。【蒲生 郷昭】
【西洋】
 西洋音楽では,一定の周期でアクセント(強拍)が繰り返されることを拍子という。…

※「拍子舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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