授権株式(読み)じゅけんかぶしき(その他表記)authorized capital

日本大百科全書(ニッポニカ) 「授権株式」の意味・わかりやすい解説

授権株式
じゅけんかぶしき
authorized capital

株式会社において、会社が発行を予定している株式総数の枠を定款で定めておき(会社法37条1項・2項)、一部は会社の設立に際して発行するが、残部は、会社設立後必要に応じて取締役会の決議により分割発行できる制度。授権資本制度ともいう。1950年(昭和25)の商法改正により、アメリカ法に倣い、資金調達便宜のために採用された。株式を発行すると株主構成に変更を与え既存の株主に影響を与えるために、株式発行は本来株主総会で決定すべきである。しかし、迅速な資金調達を達成するには、新株発行をそのつど株主総会で決定するとかえって時間がかかる。両者の調整をとったのは、授権株式制度である。設立時には授権株式数の少なくとも4分の1は株式を発行しなければならず(同法37条3項本文)、また、定款の変更により既存の授権株式数を増加する場合にも、発行済株式総数の4倍までしか増加できない(同法113条3項本文)。ただし非公開会社(全部株式譲渡制限会社)では、授権株式制度による制約はない(同法37条3項但書、113条3項但書)。

[戸田修三・福原紀彦]

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