精選版 日本国語大辞典「便宜」の解説
べん‐ぎ【便宜】
〘名〙
① (形動) つごうのよいこと。便利なこと。また、そのようなときやそのようなさま。びんぎ。
※六如庵詩鈔‐二編(1797)二・所養払菻狗一旦失之踰年復還感紀其事「平生侍童厭二老痴一、逡巡旋退占二便宜一」
※将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉一一「彼の造物主は我が日本人民を配置するに尤も便宜なる中帯の地を与へたり」 〔史記‐蕭相国世家〕
② たより。音信。びんぎ。
※浮世草子・風流曲三味線(1706)六「娘方より便りあらず、其方の方へは便宜(ベンギ)ありしや」
③ その場その場に適応した処置。また、特別のはからい。
※死霊‐一章(1946‐48)〈埴谷雄高〉「患者の委託についてさまざまな便宜をはかってくれたばかりでなく」
びん‐ぎ【便宜】
〘名〙
① つごうのよいこと。たよりのよいこと。好都合。また、そのおり。ついで。べんぎ。
※続日本紀‐養老六年(722)二月戊戌「更量二用銭之便宜一。欲レ得二百姓之潤利一」
※落窪(10C後)一「いかに、その部屋はあくやと、いみじくなん。なほびんぎあらば告げられよ」
※浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)一「思ひ思ひに便宜(ビンギ)の国へ立退(のく)支度をしたりし中に」
② 状況を伝える手紙や情報。たより。おとずれ。べんぎ。
※言継卿記‐天文元年(1532)正月三〇日「従播州都多村便宜有之、わた一把、漆二合子、中折一束上候了」
※浄瑠璃・曾根崎心中(1703)「きづかひなれど内かたのしゅびを知らねばびんぎもならず」
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