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株式会社 かぶしきかいしゃ

9件 の用語解説(株式会社の意味・用語解説を検索)

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

株式会社

株式を発行して投資家から資金を調達し、その代金で事業活動を行なう会社のこと。株式を公開していれば、株式を購入することで誰でも出資者(株主)になれる。 事業が成功して利益が上がれば、株価の上昇で株主の利益が増え、株数に応じて配当金や株主優待を受け取ることもできる。半面、事業がうまくいかなければ配当金は無く、株価も下がる。株式会社制度の下では、事業を遂行する人(経営者)と株主は異なり、経営者と出資者が別人でも構わないために、ビジネスの手腕のある人は、自己資金が無くても、株式発行により資金を集めて事業ができる。

出典|ASCII.jpデジタル用語辞典
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デジタル大辞泉の解説

かぶしき‐がいしゃ〔‐グワイシヤ〕【株式会社】

現代の代表的な企業形態の一。合名会社合資会社合同会社における持ち分にあたるものを株式の形式にし、株主は株式の引受価額を限度とする有限の出資義務を負うだけとなる。機関には、株主総会取締役会会計参与監査役などがある。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
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百科事典マイペディアの解説

株式会社【かぶしきかいしゃ】

一定数の株式を発行し,各社員(株主)がその有する株式の引受価額を限度として出資義務を負う会社(会社法2条以下)。資本会社の典型。資本の集中危険の分散,企業の永続性にすぐれ,現代の中心的な企業形態をなす。
→関連項目会計監査人会社資本金増資大会社代表取締役発起人

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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株式公開用語辞典の解説

株式会社

株式を発行して投資家から資金を調達し、その代金で事業活動を行う会社のこと。最低資本金制度が撤廃され、現在は1円からでも株式会社を設立する事ができるようになった。

出典|株式公開支援専門会社(株)イーコンサルタント
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農業関連用語の解説

株式会社

商法に基づく株式会社の組織形態をとっているものをいう。

出典|農林水産省
※本用語集は、農林水産省ホームページに掲載している農林水産業及び農林水産施策情報等の参考として作成したものです。このため、本用語集中の用語説明は一般的に使われている意味と異なる場合もあります。
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世界大百科事典 第2版の解説

かぶしきかいしゃ【株式会社】

株式会社は会社の一種で,会社の構成員である社員(株式会社においては,株主呼ばれる)の地位が株式という細分化された割合的単位の形をとり,同時に,すべての株主が,会社に対して,その出資額を限度とする有限責任を負担するだけ(いいかえると,株主は会社の債権者に対してはなんらの責任を負わない)の形態のものである。
【法的にみた株式会社】
 上記のような株式会社の制度的特質は,個性を喪失した大衆投資家を株主とすることによって,大規模な資本の集中を図るための必要から生じている。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

かぶしきがいしゃ【株式会社】

構成員の地位が細分化された株式という形式をとり,株式の自由譲渡性,および構成員たる株主の有限責任などを特色とする企業形態。機関としては株主総会・取締役会・代表取締役などがある。物的会社の典型的なもの。

出典|三省堂
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

株式会社
かぶしきがいしゃ
corporation

出資者の私的資本を一つの社会的結合資本とする形態(→会社株主)。出資者の権利義務について株式が発行され,株主はその有する株式の引受価格の払い込みもしくは給付以外になんら財産上の義務を負わない(→有限責任)。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

株式会社
かぶしきかいしゃ

営利事業を営むための会社形態の一種。法律上、社員(株主すなわち出資者)の地位が株式という均等に細分化された割合的単位をとり、その社員が会社に対し、その有する株式引受価額を限度とする出資義務を負うだけで、会社債権者に対してなんらの責任を負わない(間接有限責任)会社をいう。経営的には、多数の出資者が株式制度によって結合した物的会社であり、営利的多数集団企業の一種とされる。いずれにせよ、株式会社の基本的特質は、株式と有限責任である。[森本三男]

歴史

1602年オランダに設立された東インド会社に起源を求めるのが普通である。その後、株式会社制度は各国に伝わり、資本主義経済発展の原動力となった。初期の株式会社は、国王の特許によって個別的に設立される特許主義に基づいていたが、1807年のフランス商法典で免許主義が採用され、私的な民主的経済組織となった。さらに産業革命後、大規模企業への適合性による急速な普及に対応し、各国は19世紀なかばから所定の要件に合致すれば設立できる準則主義に転換し、これによって設立が自由かつ容易になったため、中心的企業形態としての株式会社の地位は不動のものとなった。日本では、1869年(明治2)に設立された通商会社と為替(かわせ)会社が株式会社の最初とされることもあるが、これらは組合的色彩を脱しきれない不完全な株式会社であり、むしろ1873年に設立された第一国立銀行を日本最初の株式会社とする見方が一般的である。1899年商法が制定され、出資と経営の合一した株主支配を基礎にするドイツ的色彩の強い株式会社制度が盛り込まれ、準則主義が定着した。第二次世界大戦後、出資と経営の分離を中心にした株式会社の実態の変化に対応し、また経済民主化の流れもあって、アメリカの制度を大幅に取り入れた商法の大改正が1950年(昭和25)に行われた。さらに2005年(平成17)には、それまで分散していた会社に関する法律を一つに統合した会社法が制定された。[森本三男]

経営的特質

経営上からみた株式会社の特質として次の諸点をあげることができる。
〔1〕出資と経営の分離(所有と経営の分離、あるいは資本と経営の分離ともいう)が可能になり、有能な人材を経営者に迎えることができること。株式会社では、株主は株主総会において会社の基本的意思決定に参加できるが、会社の基本的意思決定の大部分は取締役会に委譲されており、株主総会にはごく限られたものしか残されていない。また、経営者である取締役を株主に限定することは法的に許されない。このような制度上の仕組みは、出資と経営を分離し、専門経営者に経営をゆだねるうえできわめて好都合である。しかも実態は、法律的制度が想定しているよりもはるかに出資と経営の分離が著しい。株式会社の大規模化とともに株主数は増大し、株式所有が分散して、上位大株主の持株比率も、会社の意思決定を支配するに必要な割合に達しなくなる。大多数の株主は投資株主や投機株主と化した大衆株主であるが、彼らの多くは経営に無関心、無能力である。これらの事情が相まって、株式会社の最高意思決定機関である株主総会は、「観客なき喜劇」と形容されるほど形骸(けいがい)化し、経営者の提出した原案を形式的に承認し決定する儀式の場になっていることが多い。かくて、株式会社の実質的支配権は、形式上の法的所有者である株主から経営者である取締役へと移っている。取締役のなかでもCEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサーChief Executive Officer、最高経営責任者)の肩書を与えられた社長(代表取締役)の地位は圧倒的に強大であるから、株式会社の実権は、株主総会から取締役会に、取締役会からCEOに移り、「会社はだれのものか」という企業統治(コーポレートガバナンス)の問題を生み出している。
〔2〕資本の集積・集中にもっとも適していること。株式制度と有限責任制は、大衆の間に散在する資金を吸収し、巨大資本へ集積する手段としてきわめて有効である。しかも会社の財産は、株主の顔ぶれの変動とまったく無関係に、それ自体安定した資本体を形成し、会社の活動と個々の株主の活動も別個のものとされている。このような会社の財産と活動とは、専門経営者の指揮のもとに置かれ、多額の固定資産を必要とする高度の機械制生産にとってきわめて好都合である。また株式会社は、株式会社相互間で株式所有を行うことにより、支配と従属、提携、集団化、系列化を進め、あるいは合弁事業を展開することができ、個別会社を超えた資本の集中にとって、きわめて便利な点が多い。[森本三男]

法制の変遷

株式会社に対する法律的な制度や諸政策は、政治的・経済的変動に伴って多くの変遷を経てきた。[戸田修三・森本三男]
会社法の起源
初期においては、株式会社は国王の特許状によって設立され(特許主義)、その経営には国家の任命した官吏と大株主とがあたった専制的組織のものであった。その後しだいに国権から解放されて私的な民主的組織となったが、1807年のフランス商法典では免許主義をとり、民主主義的な機構を確立した。19世紀後半に至って各国で準則主義が採用され(イギリス1862年会社法、フランス1867年法、ドイツ1870年法)、株式会社の設立は容易になり、いっそう広く利用されるようになった。日本でも1899年(明治32)に現行商法が制定されたが、これは主としてドイツ商法を範とし、それにフランスおよびイタリア商法の影響も若干受けたものであった。各国の株式会社法は19世紀後半にほぼ確立されたが、第一次世界大戦後、株式会社法の改正が世界的な傾向となり、イギリス1929年、ドイツ1931年および1937年、フランス1935年および1937年にそれぞれ大きな改正があり、日本でも1938年(昭和13)に大改正が行われた。第二次世界大戦後ふたたび改正の動きが現れ、1948年イギリスが会社法を改正したのをはじめ、ドイツでも1960年に一部改正が行われた。日本でもアメリカ合衆国の制度を大幅に取り入れた大改正が1950年(昭和25)に行われた。[戸田修三・森本三男]
会社法の変遷
第二次世界大戦後の混乱期を過ぎて各国の経済が立ち直り、株式の大衆化がいっそう進むにしたがい、ふたたび株式会社法の改正が問題となった。さらに資本の自由化やヨーロッパ経済共同体の成立といった国際経済の動向がこの傾向に拍車をかけ、各国で改正事業が盛んに行われた。西ドイツでは1965年に株式法が改正され、フランスでは1966年に、イギリスでは1967年および1980年にそれぞれ改正がなされた。そのほか、イタリア、ベルギーなどでも改正作業がなされた。
 アメリカ合衆国では州によって会社法が異なるが、1950年に公布されたアメリカ法曹協会American Bar Associationの手による「模範事業会社法」Model Business Corporation Actは多くの州で採用され、統一化が図られた。同法は1984年に大規模な改正を行い、「改正模範事業会社法」Revised Model Business Corporation Actとなった。現在では、全米24州が改正模範事業会社法のすべて、あるいはほぼすべてを州の会社法として採択しており、また、多くの州でも部分的に採用している。
 これらの立法にほぼ共通する特色の一つは、ますます広がる企業の所有と経営の分離に対応して、株主の保護を図ることであり、具体的には、取締役の責任強化、会社の計算規定の合理化・厳格化、情報の公開、少数株主の保護などである。
 日本でも1962年(昭和37)には計算関係の規定を中心とした改正が、1966年には記名株式の裏書廃止、株式譲渡制限、株券不所持制度、議決権の不統一行使などの重要な改正、さらに1974年には株式会社の監査制度に関する大改正が行われた。1981年には、株式につき株式単位の引上げとこれに伴う端株(はかぶ)や単位株制度の採用、また機関については、株主の提案権、取締役等の説明義務、議長の権限の明確化、株主権の行使に関する利益供与の禁止などにより、株主総会の活性化を図るとともに、取締役・取締役会の合理化と責任の強化、および監査役の権限の強化と独立性の確保を図るための改正のほか、株式会社の計算の公開、新株引受権付社債の新設などの大改正が行われた。
 1990年(平成2)には、大小会社区分立法を中心として商法の改正がなされた。そのうちのおもな改正点を以下にあげる。
(1)株式会社に最低資本金の制度を設けることにより、株式会社の財産的基礎を確保することとし、資本の額は1000万円以上であることが要求された(旧商法168条の4)。従来、株式会社には最低資本金についての定めがなかったので、株主有限責任との関係で会社債権者にとっては会社財産だけが唯一の担保であり、会社に少なくとも一定の額を保有させることが必要であるという意見が強かった。
(2)会社の設立手続の合理化として、株式会社の発起人の数を7人以上としていた規制を廃止して、1人でもよいこととした(一人会社(いちにんがいしゃ))。また、発起設立における検査役の調査の廃止、現物出資・財産引受けの場合における検査役の調査の一部省略など、小規模会社に適合する手続規制の緩和が図られた。
(3)優先株式の発行の容易化。
(4)株式配当および無償交付につき、その本質が、利益もしくは準備金の資本組み入れに基づく株式分割であることにかんがみ、それぞれの規定を削除し、株式分割に関する規定に整理した。
(5)そのほか、株券記載事項の合理化、利益準備金の積立て基準の拡充強化による会社債権者の保護などに関する改正がなされた。
 1993年には、株主による会社の業務執行に対する監督是正機能の強化を図るとともに、株式会社の監査役制度の実効性を高めるために必要な改正がなされたが、そのほか株式会社の資金調達方法を合理化し、社債権者の保護を強化するために、社債に関する制度の整備を目的とした所要の改正が行われた。そのうちのおもな改正点は、以下のとおりである。
(1)株主による会社の業務執行に対する監督是正機能の強化として、株主代表訴訟の訴訟の目的の価額を95万円とみなし、手数料を一律8200円とすること、株主の帳簿閲覧権の持株要件を、発行済株式総数の100分の3以上とすること。
(2)株式会社の監査機能の強化として、監査役の任期を3年に伸張すること、大会社の監査役を3人以上に増員するとともに、社外監査役制度の導入および監査役会を法制化すること。
(3)社債制度の改善として、社債発行限度枠の規制を廃止すること、発行会社に社債管理会社(銀行・信託会社等)の設置を原則として義務づけること、社債管理会社の権限、社債権者集会、担保付社債信託法における所要の改正措置が図られた。
 1994年には、自己株式の取得規制の緩和を内容とする商法の改正がなされた。改正前の商法210条は自己株式の取得を原則として禁止し、株式の消却のためなどに限り認めていた。改正法では原則禁止は維持しつつ、取得が認められる事由を拡大し、(1)使用人に譲渡するため、(2)定時総会の決議に基づく利益消却のため、(3)閉鎖会社において、株式の譲渡承認および買受人指定の請求があったときに会社が売渡請求をした場合、または株主の相続があった場合でも取得を認めることとした。さらに1997年には、取締役に譲渡する場合も取得を認める改正がなされた。[戸田修三・森本三男]
会社法改革の展開
1990年ごろにバブル経済が崩壊した後、経済構造改革(規制緩和)と金融改革による日本経済の再生に懸命の努力が続けられたなかで、商法・会社法の改革が展開した。これは、会社法制現代化のための序奏でもあった。1997年の改正においては、合併手続を行いやすくするための制度改革がなされた。1999年には完全持株会社制度を導入しやすくするために、株式交換・株式移転制度が創設された。さらに金融資産を時価評価する制度も導入された。2000年には会社分割制度が導入され、事業の切出し・リストラクチャリングを行いやすくした。
 前記のとおり、商法改革はパッチワーク的に続けられてきたため、各種制度間の調和の必要性が叫ばれ、商法の抜本改革の要求が生じてきた。2001年4月に法務省は、「商法等の一部を改正する法律案要綱中間試案」を公表し、会社法制の大幅見直しの視点を、(1)企業統治の実効性の確保、(2)高度情報化社会への対応、(3)企業の資金調達手段の改善、(4)企業活動の国際化にあることを示した。
 2001年には1年に三度も商法改正がなされた。まず6月改正(議員立法)では、自己株式取得制度の大幅緩和(通称、金庫株解禁)、株式制度の改革(株式の大きさの任意化、額面株式の廃止、単元株制度の導入、端株制度の合理化)、法定準備金制度の改善、新株発行規制の合理化がなされた。ついで、11月改正(閣法)では、種類株式の弾力化(議決権制限株式の導入ほか)、新株予約権の創設、新株発行規制の緩和、会社運営のIT(情報技術)化対応(会社書類の電子化、総会招集通知等の電子化、電子投票制度の導入ほか)、商法施行規則の制定がなされた。さらに、12月改正(議員立法)では、監査役制度の改善(機能強化と地位強化、社外監査役の要件・人数)、取締役等の責任軽減制度の創設、株主代表訴訟制度の合理化がなされた。
 2002年には相当多岐にわたる商法改正がなされた。
(1)株式関係 種類株主の取締役の選解任権、株券失効制度の創設、所在不明株主の株式売却制度等の創設、端株券の買増制度、
(2)機関関係 株主提案権の行使期間の繰上げ、株主総会の定足数の緩和、株主総会招集手続の簡素化、取締役の報酬規制の改正、重要財産委員会制度の創設、大会社以外の株式会社における会計監査人による監査、委員会等設置会社に関する特例、みなし大会社制度の導入、
(3)計算関係 計算関係規定の省令委任、大会社についての連結計算書類の導入、
(4)その他 現物出資等の価格の証明、資本減少手続等の合理化、外国会社、罰則、
である。
 2003年の商法改正内容は、定款に規定を置くことによって取締役会決議による自己株式の買受けの許容、中間配当限度額の財源規制の改善、株主代表訴訟の手数料額を1万3000円にする、である。2004年の商法改正では、電子公告制度の導入、株券不発行制度の導入がなされた。[戸田修三・福原紀彦]
会社法制現代化と「会社法」の創設
以上の商法改革の仕上げとなる商法改正が「会社法制の現代化」と称して準備された。形式的には、「商法」第2編(会社)、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(商法特例法)、「有限会社法」についての大改正(平仮名現代語化、用語整理・解釈明確化・規定整備、会社規定再編・「会社法」制定)である。しかし、法改正は、(1)「会社法」の制定と現代語化、(2)従来型企業の規制緩和(取締役の無過失責任の見直し、取締役会の権限強化)、(3)非公開中小企業の取締役の員数の自由化、(4)外資参入や企業再編の促進のための合併対価の多様化等に及び、現代語化という形式的な改正にとどまらない社会経済情勢の変化にかんがみた実質的改正が行われることになった。[戸田修三・福原紀彦]
2005年「会社法」の要点
2005年に制定された「会社法」の要点は、法務省によって以下のようにまとめられている。
〔1〕利用者の視点にたった規律の見直し 中小企業や新たに会社を設立しようとする者の実態を踏まえ、会社法制を会社の利用者にとって使いやすいものとするために、各種の規制の見直しを行う。(1)株式会社と有限会社を一つの会社類型(株式会社)として統合、(2)設立時の出資額規制の撤廃(最低資本金制度の見直し)、(3)事後設立規制の見直し。
〔2〕会社経営の機動性・柔軟化の向上 会社経営の機動性・柔軟性の向上を図るため、株式会社の組織再編行為や資金調達にかかる規制の見直し、株主に対する利益の還元方法等の合理化を行うとともに、取締役等が積極果敢な経営を行うことの障害にならないように取締役等の責任に関する規律の合理化を図る。(1)組織再編行為にかかる規制の見直し、(2)株式・新株予約権・社債制度の改善、(3)株主に対する利益の還元方法の見直し、(4)取締役の責任に関する規定の見直し。
〔3〕会社経営の健全性の確保 会社経営の健全性を確保し株主および会社債権者の保護を図るため、株式会社にかかる各種の規制の見直しを行う。(1)株主代表訴訟制度の合理化、(2)内部統制システムの構築の義務化、(3)会計参与制度の創設、(4)会計監査人の任意設置の範囲の拡大。
〔4〕その他 (1)新たな会社類型(合同会社)の創設、(2)特別清算制度等の見直し。[戸田修三・福原紀彦]

法律的特質

株式会社の法律的特質としては、次のような諸点をあげることができる。
(1)株式会社の基本的な特質は、社員の地位が株式という形式で細かく単位化され、株主は株式を取得することによって、その取得した株式数に応じて権利を有することになる。
(2)株主は会社に対し、その有する株式の引受け価額を限度とする出資義務を負担するだけで(会社法104条)、会社債権者に対しては、なんら直接の責任を負担せず、ただ会社に対する出資義務により、会社を通じて間接的に責任を負うにすぎない。会社法は、出資義務を確保するため、全額払込制度をとり、株式引受人は会社設立前または新株発行前に出資の全部を履行すべきものとしているから、株主となったときは会社に対してなんらの責任も負わない。
(3)株主有限責任の結果、会社債権者にとって、会社財産だけが唯一の担保であるから、会社に留保すべき最小限度の計算上の数額として一定額を資本として定め、会社財産がこの資本額を下ることのないように考慮されている。この資本の制度は、株主有限責任制度からくる株式会社の第二次的な特質ともいえる。
(4)株主の地位(株式)が自由譲渡性をもち、それが株券に証券化されていることにより、個性を喪失した多数の者が容易に会社に参加することができるばかりでなく、証券市場を通じて投下資本をいつでも回収することができるような制度になっている。このことは、株式が投資の対象として都合がよいばかりでなく、証券取引所制度と結合して、投機の対象ともなりうることを意味する。[戸田修三・福原紀彦]

株式会社の設立

株式会社の設立には発起設立と募集設立の二つの方法がある。発起設立は、発起人が設立に際して発行する株式の全部を引き受けて会社を設立する方法である(会社法25条1項1号)。募集設立は、発起人が設立に際して発行する株式の一部だけを引き受け、残りを公募などの方法で発起人以外の者に引き受けてもらって会社を設立する方法である(同法25条1項2号)。ただ、通常は、一般株主の公募を証券会社等の専門業者に依頼し、公募残を生じたときはこれら仲介業者が引き受ける方法をとることが多い。[戸田修三・福原紀彦]
設立の手続
会社設立の手続は、まず発起人が定款を作成・署名し(会社法26条)、公証人の認証を受ける(同法30条)。発起設立の場合は、設立に際して発行する株式の全部を発起人が引き受け(同法25条1項1号)、払込み・現物出資の履行(同法34条、変態設立事項に関する検査役の調査28条、33条)、設立時取締役等の選任(同法38条)、設立時取締役による設立経過の調査(同法46条)の終了を待って設立登記がなされ(同法49条)、それにより株式会社が成立する。募集設立の場合も、発起人の定款作成に始まって(同法26条)設立登記により会社が成立する(同法49条)点は発起設立と同じであるが、その間に、発起人が引き受けない残りの株式についての株主の募集(同法57条、58条)、株式を引き受けようとする者による申込み(同法59条)、発起人による株式の割当て(同法60条。これにより株式引受人となる、同法62条)、銀行等に対する払込金額全額の払込み(同法63条)、創立総会(同法87条)における設立時取締役等の選任(同法88条)などの手続が必要である。[戸田修三・福原紀彦]
(かし)">設立の瑕疵(かし)
法定の要件を欠いた設立は、登記がしてあっても無効のはずであるが、法律行為の一般原則に従って無効にしてしまうと、法律関係はむだに複雑化してしまう。そこで、とくに法律関係の画一的処理および無効の遡及(そきゅう)効の阻止の要請から、この無効は設立無効の訴えによらなければ主張できないこととしている。すなわち、会社の設立の無効の主張は、会社成立の日から2年以内に、設立無効の訴えの方法によってのみ、株主・取締役・清算人(機関設計によっては監査役・執行役)だけが行うことができる(会社法828条1項1号・2項1号。なお、被告は会社である、同法834条1号)。確定した設立無効判決は、対世的効力(訴訟当事者以外にも判決の効力が及ぶ)を有する(同法838条)が、判決の効力は遡及しない(同法839条)。設立無効判決により、解散に準じる効果が生じ、会社は清算をなすべきこととなる(同法475条2号)。設立登記がなされても会社と認めるべき実体がまったく存在しない場合を会社の不存在といい、これは、だれでも・いつでも・どのような方法によっても主張できる。設立が途中で挫折(ざせつ)して設立登記にまで至らなかった場合は、これを会社の不成立という。[戸田修三・福原紀彦]
設立関与者の責任
会社法は、発起人等に対し重い責任を課し、株式会社の設立に関与した者の不正の防止と不健全な会社の設立の回避につとめている。現物出資または財産引受けの対象となった財産の会社成立当時の実価が定款所定の価額に著しく不足する場合には、発起人と設立時取締役は連帯して不足額を支払う義務を負う(会社法52条1項)。ただし、発起設立では、検査役の調査を受けたとき、または、無過失を立証したときは、出資者以外の者は、その責任を免れる(過失責任。同法52条2項)。なお、募集設立では、検査役の調査による免責のみが認められ、無過失による免責は認められない(無過失責任。同法103条1項、52条2項)。また、発起人・設立時取締役・設立時監査役は会社設立において任務を怠った場合にはそれによって会社に生じた損害を賠償する義務を負う(同法53条1項)。悪意または重大な過失があるときには第三者に対して生じた損害を賠償する義務も負う(同法53条2項)。株式申込証・目論見書・株式募集広告その他の文書に、自己の氏名および設立を賛助する旨の記載をなすことを承諾した者は、擬似発起人として発起人と同一の責任を負う(同法103条2項)。[戸田修三・福原紀彦]

株式会社の機関

法人たる会社では、その組織上、一定の地位にあり、一定の権限を有する自然人(または会議体)の意思決定または行為が、会社の意思決定または行為として認められ、このような会社の組織上の存在を機関という。株式会社の機関は、企業の所有と経営の分離現象のもとに、株主総会は別として社員たる資格と機関たる資格とが分離し(第三者機関性)、機関が専門的に分化して権限が分配されるところ(機関の分化)に特色がある。株式会社の機関のあり方については、たび重なる商法改正や会社法制定とともに変遷している。[戸田修三・福原紀彦]
機関構成の変遷1

株主総会と取締役会の権限分配
(1)1950年(昭和25)の商法改正前の株式会社では、取締役会は存在せず、株主総会(意思決定機関)、取締役(業務執行・代表機関)、監査役(監督機関)の典型的な三権分立型の体制がとられていた。この時点において株主総会は株式会社の最高の意思決定機関であり、万能の機関であった。
(2)1950年の商法改正により、アメリカを模範として取締役会制度を導入した。これにより、取締役ではなく取締役会が会社の必要的機関となった。会社経営という専門性・迅速性を旨とする意思決定を行うためには、開催に時間も費用もかかる株主総会に頼るよりも、経営のプロである取締役が構成員となる会議体である取締役会に多くを頼るほうが望ましいと考えられたからである。しかし、しだいに企業の所有と経営の分離による株主総会の空洞化現象が生まれ、取締役会の権限が強くなってきた。すなわち、株式会社の実態をみると、株主総会は会社経営についての意思決定を行ってはおらず、経営の重点は取締役会に移行し、そこで基本的な問題を含め業務執行の意思決定を行っている。さらに日本の株式会社の多くは、社長・副社長、専務、常務等の有力取締役のみで常務会などの名称をもつ任意機関を設け、事実上、会社業務の意思決定を行ったのち、形式要件を満たすために、必要に応じて取締役会や株主総会にかけるという例がしばしばみられたのである。すなわち、事実上、経営者・代表取締役の会社内における権限が強化されることによって専横を許し、これによりさまざまな企業不祥事が現れてきた。そこで会社経営者の不祥事にいかにして対応すべきかに、商法改正の関心が向けられるようになった。[戸田修三・福原紀彦]
機関構成の変遷2

経営者の不祥事への対応
対応策は、株主総会を活性化させること、会社経営を監督・監査する機関を強化すること、の2方向からとられた。
〔1〕株主総会の活性化 1950年の商法改正に起因する株主総会から取締役会への権限委譲が、不祥事が起こる原因の一端をなしていることにかんがみれば、そもそも資本の出資者である株主の権限を強化することによって、不祥事に対応することがまずは考えられる。1981年の改正商法は、株主総会の活性化と健全化を図るために、株主の提案権や取締役等の説明義務(株主の質問権)など、株主の総会への参加意欲を助長する改正を行った。同時に、総会の病理的現象ともいうべき「総会屋」を排除するための利益供与禁止規定も導入した。不祥事を行った経営者の責任を株主が直接追及する手段としての株主代表訴訟は1950年の改正によってすでに導入されていたが、申立て時に訴訟での請求額に応じた訴訟手数料を裁判所に納付しなければならず利用しづらい制度であった。1993年(平成5)の商法改正により、代表訴訟を「財産権上の請求でない請求に係る訴え」として(旧商法267条5項、会社法847条6項)、請求額にかかわらず訴額を95万円、訴訟手数料を一律8200円としたことにより(2003年改正前民事訴訟費用等に関する法律4条2項)、利用しやすい制度へと変容した。2003年の民事訴訟費用等に関する法律の改正により、訴額は95万円から160万円に改正され(民事訴訟費用等に関する法律4条2項)、訴訟手数料は1万3000円となった。
〔2〕監督・監査機関の強化 経営者の専横に対応するために、経営を監督・監視する機関を強化する改正もたびたびなされた。
(1)取締役会改革 まずは経営者の選出母体である取締役会の制度改革が考えられる。1981年の改正商法により、代表取締役による独裁を抑制するために、取締役会の監督権限を明確強化するとともに、重要な業務執行はかならず取締役会という合議制の機関を通じて決定せしめるという趣旨を徹底させた。
(2)監査役改革 取締役会による経営者の監督は自己監督にあたるため、十分な監督はかならずしも期待できない。そこで、株主総会選出の常勤の監査機関としての監査役制度の強化が、昭和時代の商法改正では期待されてきた。1950年の商法改正では、取締役会制度導入に伴い、監査役の権限は会計監査権限のみに限定されていた。1974年の商法改正により、監査役に業務監査権限が復活し、これとともに監査役の地位が強化された。1981年には監査役の独立性を強化する改正がなされた。
(3)商法特例法における監査制度の改革 1974年に「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(商法特例法・監査特例法)が制定された。同法は、会社資産の規模に応じて相応な監査制度の設置を要求するものであった。すなわち、会社を大会社(資本額5億円以上または負債額200億円以上)、小会社(資本額1億円以下でかつ負債額200億円未満)、中会社(大・小会社以外)の三つに分類し、大会社では監査役監査のみならず会計監査人監査をも義務づけ、小会社では監査役の権限を会計監査権限に限定していた。[戸田修三・福原紀彦]
機関構成の変遷3
前記の流れをみる限り、機関構成に関する商法改正は、かつては経営者の不祥事対応として、監査役制度を改革するという側面が強かった。しかし、近時の商法改正では、不祥事による過剰な責任追及から経営者を救済する側面が強くなっており、しかも、監査役制度改革ではなく取締役会制度改革に重点を置くようになってきた。
(1)2001年の商法改正 法令・定款違反の場合の取締役の責任について、損害賠償額を制限する規定が設けられた。過剰な賠償額を負わせると取締役の冒険的な経営が萎縮(いしゅく)してしまうことが改正理由であったが、改正の直接の動機となったのは取締役に過大な賠償額を負わせた大和(だいわ)銀行代表訴訟事件であった。2001年の改正にはほかにも、代表訴訟が提起された場合、一定のときに会社が被告取締役側に補助参加をすることが明記され、監査役の取締役会への出席義務・意見陳述権が明記された。
(2)2002年の商法改正 アメリカの制度に模し、委員会等設置会社制度を導入できるようにした。これは、大会社が導入できる制度であり、取締役会内に指名・報酬・監査の三委員会と執行役を設け、監査役制度にかわるガバナンス体制を設ける。
(3)2003年には、代表訴訟提起時の手数料が1万3000円に値上げされている。[戸田修三・福原紀彦]
会社法における機関構成
2005年制定の会社法においては、株式会社形態を採用する会社の実情を踏まえ、また、従来の有限会社制度の規律との一本化を図るために、株式会社の機関設計について、定款自治による大幅な柔軟化・多様化が図られている。会社法における機関設計の原則は以下の八つである。
(1)すべての株式会社には株主総会のほか取締役の設置を要する(会社法295条、326条1項)。
(2)取締役会を設置する場合には、監査役(監査役会を含む)または三委員会等(指名・監査・報酬の各委員会と執行役)のいずれかの設置を要する(同法327条2項本文)。ただし、大会社以外(中小会社)の株式譲渡制限会社(非公開会社。すべての種類の株式が譲渡制限株式である株式会社)において、(監査役を置かないで)会計参与を設置する場合にはこの限りではない(同法327条2項但書)。
(3)株式譲渡制限会社以外の会社(公開会社)には、取締役会の設置を要する(同法327条1項1号)。
(4)取締役会を非設置の場合には、監査役会および三委員会等を設置することはできない(同法327条1項2号・3号)。
(5)監査役(監査役会を含む)を設置すれば、三委員会等を設置することはできない(同法327条4項)。
(6)会計監査人を設置するには、監査役(監査役会を含む)または三委員会等(大会社であって株式譲渡制限会社ではない株式会社では、監査役会または三委員会等)のいずれかの設置を要する(同法327条3項・4項)。
(7)会計監査人を設置しない場合には、三委員会等を設置することはできない(同法327条5項)。
(8)大会社には、会計監査人を設置しなければならない(同法327条5項、328条1項・2項)。
これらの規整のもとで、選択可能な機関構成は39通り存在する。[戸田修三・福原紀彦]

計算

会社の計算とは、会社の財産状態や損益状態を把握するために要求される会計の手続をいう。株式会社においては、利益の分配を目的として参加した多数の株主が存在する一方で、会社債権者にとっては会社財産が唯一の担保的機能を果たしているので、これら利害関係人の利益の調整と保護を図り、企業の合理的な運営をするうえにおいて、会社の計算関係の規定を明確化し、決算監査の充実を図るための厳格な規定を設けることは必須(ひっす)条件である。そこで会社法は、(1)株主と会社債権者への情報提供、および、(2)剰余金分配の規制を目的として、株式会社の計算について詳細な規定を設けている(会社法431条~465条)。ただ、具体的な計算処理については、会社法およびそれに基づく法務省令には具体的規定は乏しく、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとしている(同法431条)。[戸田修三・福原紀彦]
手続
会社は成立の日の貸借対照表を作成し(会社法435条1項)、さらに、各事業年度に関する計算書類および事業報告ならびにこれらの附属明細書を作成しなければならない(会社法435条2項、会社法施行規則116条~128条、会社計算規則89条、91条、104条~145条)。計算書類とは、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表をいう(会社計算規則91条)。
 監査役設置会社においては、計算書類および事業報告ならびにこれらの附属明細書については、監査役の監査を受けなければならない(会社法436条1項)。
 会計監査人設置会社においては、計算書類およびその附属明細書については、監査役(委員会設置会社においては監査委員会)および会計監査人の、事業報告およびその附属明細書については監査役(委員会設置会社においては監査委員会)の監査を受けなければならない(同法436条2項)。
 取締役会設置会社においては、計算書類および事業報告等は、取締役会の承認を受けなければならない(同法436条3項)。
 取締役会設置会社においては、定時株主総会の招集の通知に際して、株主に対し、取締役会の承認を受けた計算書類および事業報告を提供しなければならない(同法437条)。取締役は、計算書類および事業報告を定時総会に提出し、事業報告についてはその内容を報告し、計算書類については総会の承認を受けなければならない(同法438条)。ただ、取締役会設置会社であって会計監査人設置会社である場合の特則として、取締役会の承認を受けた計算書類が法令および定款に従い株式会社の財産および損益の状況を正しく表示しているものとして法務省令(会社計算規則163条)で定める要件に該当する場合には、総会の承認を得る必要がなく、この場合においては、取締役は、当該計算書類の内容を定時株主総会に報告しなければならない(同法439条)。
 株式会社は、定時総会の終結後遅滞なく、決算公告をしなければならない(同法440条1項)。[戸田修三・福原紀彦]
種類
株式会社が事業年度の途中の一定の日における会社財産の状況を把握するために貸借対照表や損益計算書を作成することができ、これを臨時計算書類という(会社法441条1項)。また、会社およびその子会社からなる企業集団の財産および損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定める計算書類を連結計算書類という。会計監査人設置会社は各事業年度にかかる連結計算書類を作成することができ(同法444条1項)、事業年度の末日において大会社であって金融商品取引法の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない会社は、連結計算書類の作成が義務づけられる(同法444条3項)。[戸田修三・福原紀彦]
資本の部の計数
資本金の額は原則として、設立または株式の発行に際して株主となる者が株式会社に対して払込みまたは給付をした財産の額である(会社法445条1項)。ただし、その払込みまたは給付にかかる額の2分の1を超えない額は資本金として計上しないことが認められ(払込剰余金。同法445条2項)、その場合には、それは資本準備金として計上しなければならない(同法445条3項)。また、剰余金の配当をする場合には、株式会社は、剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を乗じて得た額を資本準備金または利益準備金(「準備金」と総称)として計上しなければならない(同法445条4項)。
 資本金および準備金を減少するには、原則として、株主総会の決議と債権者異議手続が必要である(資本金については同法447条、449条、309条2項9号、準備金については448条、449条、309条1項)。なぜなら、これは会社の基礎的変更に該当し、また、資本金・剰余金は会社財産を確保する基準となる数字であるから、その減少は会社債権者の利害に影響を及ぼすからである。[戸田修三・福原紀彦]
剰余金の分配

財源
会社法は、株主に対する金銭等の分配(利益配当、中間配当、資本金および準備金の減少に伴う払戻し)および自己株式の有償取得を、横断的に剰余金の分配(剰余金の配当等)として整理し、統一的に、株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は当該行為が効力を生ずる日の分配可能額を超えてはならないとの財源規制を課す(会社法461条1項)。分配可能額算出にあたり会社法は、「剰余金」額(同法446条)をいったん計算して、そこから「分配可能額」を算出する(同法461条2項)手段をとる。剰余金額は資本剰余金と利益剰余金の合計額である(同法446条。同条の構成はかなり複雑であるが、その意味するところは本文指摘のとおりである)。また分配可能額は剰余金額から自己株式帳簿額を控除した額である(同法461条2項)。仮に期中に剰余金分配を行うときには、決算期後計算書類確定時までに生じた分配可能額の増減を反映させる制度を設けている(同法441条、453条、461条2項)。
 なお、資本金の額にかかわらず、純資産額(資産から負債を控除した額)が300万円未満の場合には、剰余金があってもこれを株主に分配することはできない(同法458条)。かつての有限会社の最低資本金が300万円とされていたことと平仄(ひょうそく)があう。[戸田修三・福原紀彦]
手続
株式会社は株主(自己株式を保有する当該株式会社を除く)に対し、いつでも株主総会の決議によって剰余金の分配を決定できる(会社法453条、454条1項、309条1項)。ただし、会社法においては剰余金分配を決議する要件を加重・緩和している場合もある。
〔1〕要件加重 (1)現物配当 株主に対して金銭以外の財産を分配する場合には、原則として株主総会の特別決議を要する(同法454条4項・309条2項10号)。(2)特定の者から自己株式を有償で取得する場合にも、株主総会の特別決議を要する(同法160条1項・309条2項2号)。
〔2〕要件緩和 (1)中間配当 取締役会設置会社では、定款の定めにより、一事業年度途中に1回に限って取締役会決議に基づく中間配当を行うことができる(同法454条5項)。(2)取締役会設置会社において、定款による授権があれば、取締役会決議によって自己株式を取得することができる(同法165条2項)。(3)会計監査人設置会社で、取締役の任期を1年に短縮し、剰余金の配当を取締役会決議により決定できる旨を定款で定めた会社で、計算書類に会計監査人の適法意見が付されている場合には、取締役会決議で剰余金の配当を決定できる(同法459条1項4号・2項)。[戸田修三・福原紀彦]
違法な剰余金分配
(1)効力 分配可能額がないのに剰余金分配をした場合、その分配の効力が有効なのか無効なのかについては、現在のところ定説はない。
(2)株主の責任 会社は、違法な剰余金分配により金銭等の交付を受けた株主に対してその返還を請求することができ(会社法462条1項)、会社債権者は株主に対して直接に違法分配額の返還を請求することができる(同法463条2項)。
(3)取締役等の責任 違法な分配を行った取締役・執行役・職務上の関与者および分配議案を作成した取締役・執行役・職務上の関与者に、分配額を支払う義務を課す(同法462条1項)。違法な分配を受けた株主に返還を求めることは実際には困難であるために、取締役等にも支払義務を課したものである。これは過失責任である(同法462条2項)。分配可能額を超える部分については、総株主の同意があっても免責されない(同法462条3項)。違法分配額の支払いを行った取締役等は、悪意の株主のみに対して求償権を有する(同法463条1項)。[戸田修三・福原紀彦]

資金の調達

会社が事業上の資金を調達するには、銀行などから融資を受けるという方法と、新株あるいは社債を発行する方法とがある。新株発行の方法は自己資本を拡大するものであり、社債発行は他人資本による資金の調達方法である。そのいずれにせよ、会社法は、資金の調達を容易になしうるような法的措置を講じている。
 株式会社における社員の地位が株式という細分化された割合的単位の形式をとっているのは、社員の個性を失わせ、多数の者が容易に株式会社に資本的参加ができるようにしたものである。すなわち、株式は、株式会社が大衆資本を集積して巨大な資本をもつことを可能にした技術的な手段であるが、株式会社は、会社資金調達の必要があれば、定款所定の発行可能株式総数(授権株式数)の範囲で、増資することができる。これに対し、社債は、大衆に対してなされる起債によって発生した株式会社に対する債権であって、集団的な長期借入金であり、社債券という有価証券が発行される。この場合も大量的であり、長期の借入金を一般大衆から集める手段である。[戸田修三・福原紀彦]

資本減少

会社の資本金の額を減少すること。減資ともいう。資本金は、会社がつねに保有すべき財産の額を示す一定の計算上の数額であり、会社信用の基礎をなすから、みだりにこれを減少すべきではないが(資本不変の原則)、実際上の必要がある場合には厳重な手続、すなわち、株主総会特別決議と債権者異議手続のもとでこれを認めている。株主総会特別決議が必要となる理由はそれが会社の基礎的変更となるためであり、債権者異議手続が必要となる理由は会社信用の基礎をなす計数の減少をもたらすからである。
〔1〕株主総会決議 原則として、(1)減少する資本金の額、(2)減少する資本金の額の全部または一部を準備金とするときは、その旨および準備金とする額、(3)資本金の額の減少がその効力を生ずる日を株主総会特別決議によって定めなければならない(会社法447条1項、309条2項9号)。例外として、欠損填補(てんぽ)のための資本金の額の減少は、株主総会普通決議で行うことができる(同法309条2項9号)。また、株式会社が株式の発行と同時に資本金の額を減少する場合において、当該資本金の額の減少の効力が生ずる日後の資本金の額が当該日前の資本金の額を下回らないときは、事実上減資が生じないので、取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会決議)で行うことができる(同法447条3項)。
〔2〕債権者異議手続 会社は、(1)資本金の額の減少の内容、(2)株式会社の計算書類に関する事項、(3)債権者が一定の期間(最低1か月)内に異議を述べることができる旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者(債権者の所在、債権の原因および内容の大体を会社が知っている債権者。判例は、その債権の存在につき会社と係争中の債権者も該当しないとはかならずしもいえないとしている)には、各別に催告しなければならない(同法449条1項・2項)。所定の期間内に異議を述べなかった債権者は、当該資本金の減少について承認をしたものとみなされる(同法449条4項)。債権者が期間内に異議を述べたときは、株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、もしくは相当の担保を提供し、または当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託しなければならない。ただし資本金減少によっても当該債権者を害するおそれがないときはその措置は不要である(同法449条5項但書)。[戸田修三・福原紀彦]

解散・清算

会社の解散とは、会社の法人格の消滅をきたす原因となる法律事実をいい、株式会社は、次に掲げる事由によって解散する(会社法471条)。すなわち、(1)定款で定めた存続期間の満了、(2)定款で定めた解散の事由の発生、(3)株主総会の決議(同法309条2項11号)、(4)合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る)、(5)破産手続開始の決定、(6)解散を命ずる裁判(同法824条1項、833条1項)である。(1)(2)(3)は、2週間以内に登記が必要である(同法926条)。会社の清算とは、会社が解散後において既存の法律関係の後始末をするための手続であり、現務の結了、債権の取立て、債務の弁済、残余財産の分配を目的とする手続である。株式会社では法定の手続による法定清算しか認められない。法定清算には、清算の遂行に特別の障害が予想されない場合に裁判所の監督に服さずに行われる通常清算(同法475条~509条)と、会社に債務超過等の疑いがある場合に裁判所の厳重な監督のもとに行われる特別清算(同法510条~574条)とがある。会社の清算実務は、清算人が行い、すべての清算手続が結了すれば会社は消滅し、清算結了登記がなされる。株式会社が解散したときは、合併または破産の場合を除いて、清算をなすことを要し、また、設立無効判決・株式移転無効判決が確定したときも清算を要する(同法475条)。清算中の会社は、清算の目的の範囲内において法人格が存続する(同法476条)[戸田修三・福原紀彦]

合併

会社の合併とは、2個以上の会社が契約によって合体し、1個の会社となることをいう。経済的には、企業の競争力強化、競争回避、経営合理化などのために行われる、企業結合のもっとも進んだ形態である。会社の権利や義務などを個別に承継する必要がないこと、個別的な株式引受けなどの社員の入社行為が必要でないこと、消滅会社にとって合併は解散の一場合である(会社法471条4号)が清算手続は不要であることが、合併の経済的効果として認められる。
 合併には、当事者である会社の全部が解散し、それと同時に新会社を設立してそのなかに入り込む新設合併と、当事者である会社の一つが存続しほかの解散する会社を吸収する吸収合併とがある。会社が合併するには、合併契約の締結に始まり、合併登記・事後開示をもって終了する一連の手続が必要である。その手続は、合併契約書の作成(同法748条、749条、753条)→合併契約の内容等の株主・会社債権者への事前開示(同法782条、794条)→合併契約書の承認決議(原則として株主総会の特別決議。同法783条、784条、795条、796条、804条、805条。特殊決議を要する場合は783条1項、309条3項2号、反対株主等の株式買取請求権は785条、787条)→会社債権者の保護手続(同法789条、799条、810条)→合併登記(同法921条、922条)→合併効力発生後の事後開示(同法801条、815条)という経過をたどる。会社の合併は登記によりその効力を生ずる(同法750条1項、754条1項)。[戸田修三・福原紀彦]

整理・更生

会社の整理とは、会社の現況その他の事情により、支払不能もしくは債務超過に陥るおそれがあるとき、またはその疑いがあると認められたときに、破産することを避けるため、裁判所の監督のもとになされる会社再建を目的とする手続であった(旧商法381条以下)。民事再生法の制定により利用価値が激減したことを理由として、会社法制定に伴い廃止された。
 会社の更生とは、会社が窮境にあるけれども再建の見込みがある場合に、会社更生法の規定に従い、裁判所の広い監督権限のもとになされる会社の維持・更生を目的とする手続で、「企業の維持」の精神に基づいて認められた制度である。[戸田修三・福原紀彦]
『大隅健一郎著『株式会社法変遷論』(1953・有斐閣) ▽大塚久雄著『株式会社発生史論』(1954・中央公論社) ▽高橋俊夫著『株式会社とは何か――社会的存在としての企業』(2006・中央経済社) ▽酒巻俊之著『新会社法(株式会社・特例有限会社)』(2007・法律文化社) ▽企業法務実務研究会著、埼玉司法書士協同組合編『株式会社の登記と実務』(2007・民事法研究会) ▽岩田規久男著『そもそも株式会社とは』(ちくま新書)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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世界大百科事典内の株式会社の言及

【会社】より

…17世紀初頭に設立されたオランダおよびイギリスの東インド会社も同様な独占会社であるが,会社の永続性,社員の有限責任などの原理を確立し,株式によって広い範囲から資本を調達した。以上のようにコンメンダ以下の多様な私的企業組織と独占的な商人団体が,近代における株式会社成立の前提であると考えられている。株式会社[発達史]カンパニー制度【清水 広一郎】
[日本]
 江戸時代にも同族的な共同企業(三井など),同業者相互の一時的な共同企業(組合商内・乗合商内),株仲間を基礎にした一時的な組合企業が存在したが,それらは概して機能資本家相互の無限責任的な出資によっており,有限責任制の欠如を共通の特徴としていた。…

【カンパニー制度】より

…とくに1600年に成立する東インド会社は合本制会社の典型となった。制規会社の場合,近代の株式会社の諸特徴のうち,(1)個々の商人の寿命をこえて存続しうる永続性など,法人的性格は認められるが,(2)資本の合同が認められないのに対し,合本制会社では(2)の要素も加わる(このため,株式会社の訳語もしばしば与えられる)。しかし,初期の東インド会社では,なお当座的性格が強く残っていた。…

【企業会計】より

…したがって企業会計は,それを自己完結的な手段体系として相対化するなら,複式簿記機構の形式合理性を貫徹した資本利益計算の計算構造として特徴づけられるであろう。そのことは,株式会社会計において最も典型的に観察されるところである。 企業利益は一般に,相互に関連する二つの方法によって期間的に算定されている。…

【資本】より

… そのような変化のなかにあって,企業それ自体の立場からする資金管理の観点がしだいに強調されるようになってきたことは,注目しておかなければならない。この観点が強調されるようになったのは,株式会社形態の企業が比重を高めるようになり,しかも高度に発達した株式会社にあっては企業の支配構造が変化したためであると考えられる。というのは,株式会社は,その資本主としての株主の有限責任が保証された企業であるため,会社の保有財産は株主の私有財産から明確に区別されるとともに,権利・義務の主体としての法人格が株主の人格とは別個に認められる企業であるので,必然的に企業それ自体の立場が強く意識されることになる。…

※「株式会社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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