提砥(読み)さげと

改訂新版 世界大百科事典 「提砥」の意味・わかりやすい解説

提砥 (さげと)

携帯用の砥石長方形板状または方柱状をなし,一端に垂下用の孔を有する。中国河南省安陽県殷墟の墓や内モンゴル自治区赤峰の箱式石棺墓,朝鮮半島の慈江道中江郡土城里や慶尚南道金海郡金海邑府院洞などの,青銅器時代および初期鉄器時代の遺跡から出土しており,日本では奈良県五条市西河内町猫塚古墳など5世紀の古墳の副葬品に見いだされる。一方5世紀の朝鮮では,砥石本来の用途を離れて盛装時の装身具の一部としても使われた。これは,金または銀製の透し文様金具を砥石の一端にかぶせ,金具頂部の環に鎖をつないで,腰佩の垂下飾の一種としたものであり,王陵級の墳墓からしばしば発掘されている。このなかには砥石を木製の模造品にかえたものもある。なお砥石を佩用する習俗については,《翰苑》高麗条,《礼記》内則,《新唐書》車服志に記載がある。
砥石
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