改訂新版 世界大百科事典 「揚超散超」の意味・わかりやすい解説
揚超・散超 (あげちょうさんちょう)
財政資金の民間との直接の受払いの帳じりを示す財政用語。〈揚超〉(引揚げ超過の略)とは,財政資金対民間収支(国庫収支)において,租税,国債等により国が民間から受け入れる額のほうが,年金,公共事業等の財政資金の民間への散布を上回る状態のことで,受け超ともいう。逆に〈散超〉(散布超過の略)とは,財政支出が民間からの受取りを上回った状態のことで,払い超ともいう。揚超・散超には季節性がある。たとえば,地方交付税,供出米代金の支払時期である,4月,5月,9月,および年度末諸払いが多額となる3月は通常散超となる。一方,法人税の即納分の収納月である6月には揚超となる。なお財政収支は,毎年度均衡することを前提に編成されるので,基本的には1会計年度の収支じりはゼロとなるわけであるが,実際には,剰余金の発生,歳出繰越し等により,年度間の受払いに不均衡が生ずる。
→国庫収支
執筆者:富田 俊基
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報