救難聖人(読み)きゅうなんせいじん(その他表記)Auxilium; patron saints

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「救難聖人」の意味・わかりやすい解説

救難聖人
きゅうなんせいじん
Auxilium; patron saints

キリスト教信者が危難困窮の際にその名を呼んで代願を求める 14人の殉教聖人。迫害による無残な死にのぞんで,彼らが神に特別な救いを求めたという伝説に由来するこの 14人の崇敬は,13世紀頃中部ドイツで起ったといわれる。 14聖人の構成は時代と地方により多少異なるが,一般的には次の 14人で,美術においてはそれぞれの動物または物とともに表現される。エラスムス (自分の腸を巻きつけた糸巻枠) ,エウスタキウス (雄じか) ,ゲオルギウス (竜) ,カタリナ (車輪) ,キリアクス (縛られた悪霊) ,クリストフォロス (肩に乗せた幼児キリスト) ,ディオニシウス (切落された頭部) ,アカキウス (いばらの冠または十字架) ,ウィトゥス (雄鶏) ,ブラジウス (十字架状の2本のろうそく) ,バルバラ (塔) ,エギディウス (雌じか) ,マルガレータ (縛られた竜) ,パンタレオン (頭上で釘づけされた両手) 。

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世界大百科事典(旧版)内の救難聖人の言及

【守護聖人】より

…そのために聖人の生涯の事跡や伝承のなかで,それぞれの職業と何らかのかかわりをもつ聖人が守護聖人として選ばれた。たとえば幼児イエスを背負って川を渡ったとされる伝説的巨人クリストフォルスは救難聖人auxiliary saints(緊急の際に,信者がその名を呼んで代願を求める聖人で,通常14人があてられる)の一人で,船乗りの守護聖人とされている。またアガタは拷問ののちに火で焼かれて殉教したために,火事から人々を守る守護聖人とされている。…

※「救難聖人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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