日本大百科全書(ニッポニカ) 「カタリナ」の意味・わかりやすい解説
カタリナ
かたりな
Catharina de Alexandria
4世紀ごろの殉教者、カトリックの聖女。生涯については伝説的資料しかない。貴族の出身で、優れた教育を受け、18歳のとき皇帝の前で異教徒の哲学者と議論し、彼らを改宗させた。のち皇后にキリスト教徒になるよう勧めたかどで、車裂きの刑を受けることになったが、祈りによって車輪が砕かれてしまったため、ついに首を切られて殉教したと伝えられている。彼女への崇敬は早くから東方正教会に生まれたが、ローマ教会でも10世紀以後盛んになった。絵画の題材になっているが、書物(知識を表す)、王冠(貴族の出を表す)、車輪(殉教を表す)とともに描かれているものが多い。
[大谷啓治 2017年11月17日]