カタリナ(読み)かたりな(英語表記)Catharina de Alexandria

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カタリナ」の意味・わかりやすい解説

カタリナ
かたりな
Catharina de Alexandria

4世紀ごろの殉教者カトリック聖女生涯については伝説的資料しかない。貴族の出身で、優れた教育を受け、18歳のとき皇帝の前で異教徒の哲学者と議論し、彼らを改宗させた。のち皇后にキリスト教徒になるよう勧めたかどで、車裂きの刑を受けることになったが、祈りによって車輪が砕かれてしまったため、ついに首を切られて殉教したと伝えられている。彼女への崇敬早くから東方正教会に生まれたが、ローマ教会でも10世紀以後盛んになった。絵画題材になっているが、書物(知識を表す)、王冠(貴族の出を表す)、車輪(殉教を表す)とともに描かれているものが多い。

[大谷啓治 2017年11月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カタリナ」の意味・わかりやすい解説

カタリナ[シエナ]
Catharina of Siena

[生]1347
[没]1380
イタリアのドミニコ第三会修道女。教会博士。その深い信仰と人格的魅力によって多くの人をひきつけた。 1376年アビニョンにおもむき,教皇グレゴリウス 11世にローマ帰還をすすめた。 78年にはウルバヌス6世を支持して教会の一致回復に努力した。

カタリナ[アレクサンドリア]
Catharina of Alexandria

[生]?
[没]307頃
迫害時代の伝説的殉教者。アレクサンドリア拷問ののち斬首。中世民衆尊崇が高まった。その遺体は天使によってシナイ山に運ばれたといわれ,ユスチニアヌス帝創建の同地の修道院はその名にちなんでセント・カタリナ修道院と呼ばれている。

カタリナ[ジェノバ]
Catharina of Genoa

[生]1447. ジェノバ
[没]1510.9.15.
イタリアの神秘家。聖女。 16歳で結婚後回心,夫ものちにこれに続き,彼女を助けて病者に奉仕。その神秘的体験は著書『霊魂とからだの対話』に述べられている。祝日は9月 15日。

カタリナ[リッチ]
Catharina of Ricci

[生]1552.4.23. フィレンツェ
[没]1590.2.2. プラート
ドミニコ会女子修道院院長,聖女。 14歳で誓願を立て後,終生修道院の指導と管理を行った。神秘的体験に富む。

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