朝日日本歴史人物事典 「文魚」の解説
文魚
江戸後期の通人。明和・安永年間(1764~81)の十八大通のひとりで,大和屋太郎次の俳号。三升屋二三治『御蔵前馬鹿物語』には本職を足代方御用達とあるが,業種不明である。家は女郎買いの稽古所といわれるほど,通人,遊客が文魚の弟子となって出入りし,いずれも文の字を頂いて俳号とした。髪形に本多髷を流行させ,蔵前本多,文魚本多の名を残した。弟子に 髪結文蝶(大黒屋文七)や吉原遊女屋の四ツ目屋文洲などの大通がいる。後年零落したが見栄をはり,毎日江戸城付近まで武家屋敷の御用伺いに行くふりで出かけ,立ち小便をして帰ったという逸話がある。<参考文献>北原進『江戸の札差』
(北原進)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報