…戦後社会の欺瞞性に強く反発した太宰が,生家の没落をきっかけに日本の《桜の園》を書こうとしたものであり,4人の登場人物はそれぞれ作者の憧憬と絶望と反抗を背負った分身だといえる。太宰はこの作品によって流行作家となり,〈斜陽族〉という流行語も生じた。【東郷 克美】。…
…第2次大戦後の経済の低迷期,1950年ころに,疲弊したサラリーマンたちが,自前では一流レストラン,バー等で飲食することができず,その支払いを社用という名目で会社に肩代りさせたことから生じたことば。戦後,没落した上流階級を描いた太宰治の小説《斜陽》に由来して〈斜陽族〉という呼名がはやったが,〈社用族〉は,それとの語呂合せから,経済的に弱体化した会社員を揶揄(やゆ)しつつも半ば羨望(せんぼう)する気持ちを込めて用いられるようになった。しかしその後の経済の高度成長期には〈社用にかこつける〉という意味合いは薄れ,会社の業績をあげるために取引先を接待し,また商談を進める場づくりのために飲食,ゴルフ,招待旅行などを共にすることが盛んに行われるようになり,業務の一環として接待に従事し,その費用を会社の必要経費たる交際費から落とす者を〈社用族〉とみなすようになった。…
※「斜陽族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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