斯して(読み)かくして

精選版 日本国語大辞典 「斯して」の意味・読み・例文・類語

かく【斯】 し て

(副詞「かく」に動詞「す」の連用形「し」および助詞「て」の付いたもの)
① =かくて(一)
万葉(8C後)四・七〇〇「如此為而哉(かくしてや)なほやまからむ近からぬ道の間をなづみまゐ来て」
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「下女は口惜しさうに吾輩を台所へ抛り出した。かくして吾輩は遂に此家を自分の住家と極める事にしたのである」
② (接続詞のように用いる) =かくて(二)
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)三「心を一にし念を専して、随喜を作す時には、福を得ること無量なり。作是(カクシテ)(い)ふべし、十万世界の一切の衆生の、現在に施と戒と心慧とを修行するに、我れ今皆悉く深く随喜を生ず」

こう‐して かう‥【斯して】

(副詞「こう」に、動詞「する」の連用形「し」と、助詞「て」が付いて一語化したもの)
[1] 〘副〙 このようにして。
狂歌・銀葉夷歌集(1679)七「恋に身をかうしてじっと手を握る君は紫塵の嬾き蕨か」
[2] 〘接続話し手が、先行事柄を、自分の話材として状態化して指示した上、その事柄から生じた結果や後続する事柄を述べ続けるときに用いる。これこれした結果。
史記抄(1477)三「善悪の民を異にして居しむるぞ。かうして東周郊境をなしさだむるぞ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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