斯くて(読み)カクテ

デジタル大辞泉 「斯くて」の意味・読み・例文・類語

かく‐て【×斯くて】

[接]前に述べた事柄を受けて、あとの事柄が起こり、あるいは、あとの事柄に移っていくことを表す。こうして。このようにして。かくして。「斯くて一年が過ぎた」
[副]このような状態で。
水底に生ふる玉藻の生ひ出でずよしこころは―通はむ」〈・二七七八〉
[類語]こうしてかくしてそしてそうして

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「斯くて」の意味・読み・例文・類語

かく‐て【斯て】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 ( 副詞「かく」に助詞「て」の付いてできたもの )
    1. 「かく(斯)」に状態の意義を加えて接続する。こうこうで。これこれで。
      1. [初出の実例]「文にて『かくてなん』とあるに、『はたよかなり、〈略〉』とあれば、いとこころやすし」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 「かく(斯)」に状態の意義を加えて接続する。このような状態で。このようにして。かくして。
      1. [初出の実例]「吾が思ひ如此而(かくて)あらずは玉にもが真(まこと)も妹が手に巻かれむを」(出典万葉集(8C後)四・七三四)
      2. 「今日ばかりは、わざとかくてあるべきなり」(出典:徒然草(1331頃)一八四)
  2. [ 2 ] 〘 接続詞 〙 先行の事柄を受けつつ、新たに事柄を説き起こすことを示す。このようにして。さて。かくして。
    1. [初出の実例]「こがねある竹を見つくる事重なりぬ。かくて翁やうやう豊かに成り行く」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「ひとへに後世をぞ願ひける。かくて春過ぎ夏闌(たけ)ぬ」(出典:高野本平家(13C前)一)

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