知恵蔵 「新書ブーム」の解説 新書ブーム 新書(本)の特徴は、単行本よりコンパクトな判型(B40判)、ソフトカバー、廉価。草分けは岩波新書(1938年創刊)で、一般向けの書き下ろし教養書として定着。2005年の新書市場は、ノベルズ(小説)を除く、ノンフィクション部門は約30シリーズで、養老孟司『バカの壁』(新潮新書、05年末の累計400万部超)、樋口裕一『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書、同213万部)、山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書、同120万部)、とミリオンセラーが続出。06年も藤原正彦『国家の品格』(新潮新書、05年11月から06年5月までに累計200万部超)とベストセラー続出で参入出版社も相次ぎ、朝日新聞社も06年秋に朝日新書を創刊。ただし「出版指標・年報」によると05年の新書新刊点数は1434点(前年比34点減)、1点平均9200部発行(同300冊減)。実際は、過当競争で生産抑制傾向にあり、当事者も「新書ブームはウソ。文庫と比べるとかなり小さなマーケット」(新潮新書メールマガジン72号)と新規参入を牽制する。 (村上信明 出版流通ライター / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報