新書(読み)しんしょ

精選版 日本国語大辞典 「新書」の意味・読み・例文・類語

しん‐しょ【新書】

〘名〙
① 新しく著述・編集された書物。また、新しく出版された書物。
江戸繁昌記(1832‐36)三「則那の新書輩、天日を見るは則見る、但し考証先生に陪し、矜色儒者に侍す」 〔徐鉉‐和清源太保寄湖州潘郎中詩〕

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デジタル大辞泉 「新書」の意味・読み・例文・類語

しん‐しょ【新書】

新しく著した書物。また、新刊の書物。
新書判およびそれに類似判型による軽装叢書

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改訂新版 世界大百科事典 「新書」の意味・わかりやすい解説

新書 (しんしょ)

出版形式の一つで,B6判よりやや小型の判型(新書判)のシリーズをいう。新書判の寸法はJIS規格(日本工業規格)外なので一定しないが,173mm×106mmが標準である。新書という名称は,イギリスペリカン・ブックス(ペンギン・ブックス)に範をとり,1938年に岩波書店が創刊した〈岩波新書〉に由来する。〈岩波新書〉は,〈岩波文庫〉をはじめとする文庫が,すでに古典としての声価を確立した作品を収録していたのに対し,斎藤茂吉《万葉秀歌》,三木清《哲学入門》,吉田洋一《零の発見》,吉川幸次郎三好達治《新唐詩選》など,同時代に属する筆者による書下ろしを中心に,〈現代人の現代的教養〉を追求する,いわゆる教養書としての性格を備え,分量も手ごろで廉価なこともあって,学生,知識人を中心に安定した読者を獲得した。一方,第2次世界大戦後,経済成長に伴う読書人口の爆発的増大,マスプロ・マスセールを志向する出版の大衆化とともに,手軽で廉価な新書は,文庫とともに主要なシリーズ形式の出版物として,脚光を浴びることになった。54年,中央公論社がハードカバー単行本として刊行していた伊藤整《女性に関する十二章》の廉価版を新書判で刊行,ベストセラー化したのを契機に,各社が新書を創刊し,いわゆる新書ブームをまき起こした。なかでも神吉晴夫が54年から手がけた光文社の〈カッパ・ブックス〉は,時流に投じた企画,平易に書き改められた文章,斬新な書名,宣伝費の大量投入による需要喚起によって,岩田一男《英語に強くなる本》,塩月弥栄子《冠婚葬祭入門》,多湖輝《頭の体操》,星野芳郎《マイ・カー》など,ハウツーもの,娯楽ものを中心に多数のベストセラーを続出させ,戦後出版史に一時代を画した。新書の流行にみられた低価格志向の出版傾向はその後いちだんと助長され,いわゆる〈軽薄短小〉を旨とする世相とあいまって文庫の分野へ波及し,各社の参入により激しい〈文庫合戦〉を展開している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新書」の意味・わかりやすい解説

新書
しんしょ

文庫本 (A6判) よりやや大きい小型本の通称。 1935年7月にイギリスで,それまでのハードカバー (堅表紙) に対してペンギン叢書という文学中心の安いペーパーバックス (紙表紙本) の叢書が発売されて大成功を収め,37年には教養書や科学書のペリカン叢書も発売された。日本では岩波書店がそれを手本にし,38年 11月「岩波新書」 20点を同時に発行した (当時の定価1冊 50銭) 。そしてこの岩波新書の成功で,新書という言葉も日常語になった。B全判の紙から片面で 40ページ取れる大きさ (B6判では 32ページ) であるため「B40取り」「B40判」ともいわれる。

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