新板江戸大絵図(読み)しんぱんえどおおえず

日本歴史地名大系 「新板江戸大絵図」の解説

新板江戸大絵図(寛文新板江戸絵図)
しんぱんえどおおえず

一五六・〇×一六三・五、一〇〇・五×一九七・五センチなど 木版手彩 遠近道印・経師屋加兵衛 寛文一〇―一三年 三井文庫保管

解説 五枚組。二枚目以下の表題は新板江戸外絵図で副題が各範囲地名。万治年間江戸測量図の五分四、三千二五〇分一の公刊版。五間一分の縮尺。加賀金沢藩士藤井半知の匿名とされる人物の作図で、以後の全江戸図の基礎となり「江戸図の(おや)」と称される。航空測量に匹敵する精度で、文字の向きなど表記法をも確立した。以後諸図は磁北の変動を無視して本図を踏襲しており、実質的に内容を書替えるのみで、伊能忠敬まで測量した形跡がない。本図は戦国的規範の消退、新規参入・交替人口の社会的需要、天才的な技術者の出現の相乗結果と考えられる。当時の「江戸」と「江戸外」を理解でき、後の「御府内往還」とその「場末」の観念に対応する。略称寛文五枚図・寛文図。正確な本図上で武家地六八・九パーセント、寺社地一二・四パーセント、町屋一〇・六パーセント、その他八・一パーセント、総面積六三・四二平方キロと測算。維新後の東京府実測にほぼ同じ。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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